南海トラフ地震警戒情報

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南海トラフ沿いでのスロースリップ現象について


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今回、南海トラフ沿いでスロースリップ現象が観測されていたことが明らかになりました。


詳細については、各ニュース記事に書いてある通りですので省略させていただきます。


今回はスロースリップ現象について、なるべく理解していただけるように説明したいと思います。


また、それが南海トラフ地震にどのように影響するのか?というのも考察していきたいと思います。



・スロースリップ現象とは?


・南海トラフ地震が誘発されるのか?


・南海トラフ地震の歪みが解消されるのか?


主にこの3つのお問い合わせを頂いていますので、これらの疑問について答えるように以下に記事を書いていきたいと思います。



では、本題に入りますが、実は南海トラフ沿いでは我々が気付かない間にこれまで何回も地震が発生しています。


それが「スロースリップ」と呼ばれる地震現象で「ゆっくり地震」などとも言われています。


その名の通り非常にゆっくりとすべることで発生する地震のことです。


普通の地震よりもはるかに遅い速度で断層面がすべり、地震動の継続時間、および周期が非常に長く、その揺れは人間では感じ取ることができません。


防災科学技術研究所により整備された「高感度地震観測網」による観測データにより初めて発見されたのです。



プレート同士が摩擦力によって強く固着した部分のことを「アスペリティ」といい、この固着域は通常、数十年から数百年の間力をため込んでから、それが限界に達したときに一気にずれ動きます。


これが南海トラフ巨大地震のメカニズムです。


しかし、プレートの固着した部分すべてが必ずしも強い固着域ではなく、帯状に分布していたり、まだらに分布していたりします。


そして、この「アスペリティ」の周りには「弱い固着域」があると考えられています。


この部分がゆっくり地震を引き起こす、「スロースリップ域」だと考えられています。



簡単にまとめると、アスペリティは強くがっちりとくっついていて、はがれるときは一気にはがれるため巨大地震を引き起こす。


スロースリップ域は固着が弱く、ある程度歪みが溜まる度にゆっくりすべりながら歪みを解消するため低周波の地震を引き起こす。


ということになります。



では、なぜスロースリップ域の歪みは「ゆっくり」解消されるのかという疑問を持った人は多いのではないでしょうか。


例えばアスペリティの場合は、歪みが限界に達してはがれるとき、溜め込んでいたエネルギーが大きいために周りのスロースリップ域も含めて一気に剥がれようとする力が働きます。


それに対してスロースリップ域はそこに一気に剥がれようとする力が働いても、周りの固着域が強く固着しているために、その剥がれようとする動きが制限されて「ズズズッ…」と引っ張られるようにゆっくりとすべるのです。


さらに固着が弱いためにアスペリティよりも発生周期が非常に短く、少し歪みが溜まる度にズズズッとすべります。


したがって、スロースリップ現象が発生するということは、着実に歪みが溜まり続けている証拠でもあるということが言えます。


また、スロースリップがいくらたくさん発生しても南海トラフ地震を引き起こす「アスペリティ」に溜め込まれている歪みが解消されているわけではありませんので、スロースリップ現象によって「南海トラフ地震の歪みが解放されるのではないか?」という疑問についても完全に否定することができます。


このようなメカニズムで考えると、スロースリップ現象は南海トラフ地震を引き起こすアスペリティに少なからず影響を及ぼしている可能性が考えられます。


つまり、周辺のスロースリップ域が毎回ズズズッとすべる度に南海トラフの固着域には小さな解放の力が加えられているということになるのです。



実際に東日本大震災を引き起こした「東北地方太平洋沖地震」では地震発生の直前までスロースリップが観測されていました。


固着域の歪みが限界近くまで達していて、このスロースリップ現象が最後の一押しとなったと指摘されているのです。



通常、このようなスロースリップ現象が直ちに南海トラフ地震を発生させる可能性は低いのですが、万が一、歪みが限界近くまでに達した状態である場合、東北沖で起きたようにそれが地震を引き起こすキッカケとなる可能性は十分にあり得ると考えております。