南海トラフ地震警戒情報

Twitterにて減災活動、情報発信を行っています。@T1ZEg2jynaj9lQ7


瀬戸内海中部の地震について解説


f:id:tsukasa-fp:20191127045728j:plain


11月26日7時58分
瀬戸内海中部M3.8


11月26日15時9分
瀬戸内海中部M4.5


11月26日15時14分
瀬戸内海中部M3.1



26日、瀬戸内海中部を震源とする地震が1日に3回連続で発生し、最大で震度4を観測しています。


この地震についてのお問い合わせを1日で数十件頂きましたが、今回はその内容をまとめ、主な不安材料について解説していきたいと思います。



まず、一番多かったのが「南海トラフ地震との関連」でその他には中央構造線活断層帯や瀬戸内海周辺で大きな地震が起こるのではないか?という不安でした。



過去に瀬戸内海で起きた被害地震


まずは、瀬戸内海周辺で過去にどのような地震があったのかを見てみます。


今回の震源周辺で発生した過去の被害地震というと真っ先に頭に浮かんだのが「芸予地震」です。


芸予地震は瀬戸内海の安芸灘という場所を震源として発生した地震で、1905年と2001年にそれぞれマグニチュード6.7~7前後で起きています。


ただ、この両地震は深さ40km以上フィリピン海プレートが沈み込んだ部分で発生した「スラブ内地震」でした。


万が一この時と同じメカニズムで地震が発生していたとすると、少なくとも南海トラフ地震との関連を疑うことはできます。


しかし、今回発生した瀬戸内海中部の地震はすべてフィリピン海プレートにすら届かない浅い部分で発生しており、解析の結果、横ずれ型のメカニズムで起きた「断層型の地震」だと考えられています。


また、少し西にある伊予灘でも2014年にM6.2の地震が発生していますが、こちらの地震も深さ約78kmで発生した「スラブ内地震」であるため、まったく地震のメカニズムは違います。



南海トラフ地震を誘発させる?


震源からフィリピン海プレートに至るまで30km以上も深さがあり、今回発生したM4.5という規模程度の応力変化ではプレートにまで影響は及ばない、


また、地震波がプレート内を伝播したと仮定しても、南海トラフ地震を引き起こす要因となる「固着域」に達するまでには極端に減衰しているため、


今回取り上げた3つの地震活動が南海トラフ地震を引き起こすきっかけとなる可能性は確率論的には極めて低いと考えることができます。



ただし、関連性はあるのか?という質問に対しては必ずしも否定はできません。


フィリピン海プレートが沈み込む際に、南海トラフ地震を引き起こす固着域には強い歪みが蓄積されます。


しかし、この固着域での歪みが強くなれば強くるほど内陸側プレートはフィリピン海プレートの進行方向に動きます。


つまりフィリピン海プレートに押されている四国や九州地方では海側から圧縮される力を受け続けていることになります。


この圧縮の力によって内陸側のプレートにも歪みが溜まり、内陸部で地震を発生させます。


そのため四国の内陸側で発生する地震もすべてフィリピン海プレートの動きに「関連して」発生していることになるのです。



中央構造線活断層帯の活動に要注意!?


まず、理解していただきたいのが、フィリピン海プレートによって常に押され続けることで、歪みはどんどん蓄積しているのにも関わらず、四国地方ではあまり地震が発生しないのはなぜなのでしょうか?


現在見つかっている活断層の分布を見てみても四国地方にはほとんど活断層が見あたりません。


唯一あるのが中央構造線活断層帯です。


この活断層の分布にも実は理由があって、そのために四国地方では伏在断層も少ないと考えられています。



例えば九州地方では、たくさんの活断層が分布していて、フィリピン海プレートに押されることによって溜まった歪みを解消しようと、あらゆる断層がずれ動きます。


ざっくりと説明すればこれが九州地方で中小規模を含めた地震活動が多い理由でもあります。



これをわかりやすく数字を使って説明してみます。


まず、中規模の地震が一回発生したら歪みが「1」解放されると仮定します。


例えば九州地方では「10」歪みが溜まったときに、その「10」の歪みを解放させるために10個の断層が中規模地震を引き起こします。


もしくは、時にはM6以上の地震を発生させて少し多めに歪みを解放させることもあるでしょう。



それに対して四国地方では「10」歪みが溜まったら、1つの大きな断層(中央構造線)が数回だけズレ動くことでそれを解放させます。


もしく大きくズレ動いて「10」の歪みを1回の活動で解放させます。



つまり、力が加わり続けている以上、活断層がまったくないということは考えられないのですが、たとえ複数の活断層がなくても、その歪みを解放させるだけの活動を起こせる大きな断層が1つでもあれば、他に活断層は必要がないということです。


そして、そういった長大な活断層ほど先行的な小さなズレが周囲で起こりやすいという傾向があります。


フィリピン海プレートの歪みを解放させようとして動くというのがここでの地震活動の目的であるため、


いつか大きく解放させようとしている中央構造線活断層帯の活動を後押しする可能性もありますし、


今まさにズレ動こうとしている中央構造線活断層帯の前震かもしれないということが考えられるのです。


ちなみに、例えば割り箸を徐々に曲げていくとパキッと割れる前にミシミシっと周囲の繊維がちぎれていきます。


これが地震現象でいう「前震」であると説明するときによく使われます。


なので、小さくても周辺が割れ始めたということは歪みが限界に近づいていると推測することができるのです。


最後に26日のM4.5の地震の約1時間前にTEC値の乱れがあり、南の中央構造線付近から北の広島県にかけての地下活動に小さな異常があったことが記録されていました。


ただし、その前後に他でも同じような異常が見られている領域(北海道~東北沖、関東地方、九州大分付近など)はいくつかありましたので、必ずしも対応しているとは言えません。