南海トラフ地震警戒情報

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東海道南方沖の地震(M4.9)について解説


東海道南方沖(M4.9)について

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11月22日の午前7時半頃、東海道南方沖の深さ400KMの地点を震源とするマグニチュード4.9の地震が発生しました。


この付近では度々深発地震が発生しているのですが、


ここでさらに大きな地震が発生する可能性はあるのか?


他の大地震を誘発させる可能性はあるのか?


などの点について注目して解説したいと思います。



ではまず調査の基本となる過去のデータ分析です。


過去の東海道南方沖の深発地震がさらに規模の大きな地震や、周辺の地震活動に影響を及ぼしたと考えられる例はあったのか。を調べていきます。



東海道南方沖を震源とする地震の歴史を過去10年間遡って見ていきます。


2019年11月22日
東海道南方沖(M4.9)


2018年12月24日
東海道南方沖(M3.8)


2018年12月06日
東海道南方沖(M4.3)


2018年01月27日
東海道南方沖(M4.4)


2017年09月25日
東海道南方沖(M4.1)


2015年05月18日
東海道南方沖(M4.6)


2014年08月21日
東海道南方沖(M5.3)


2013年02月18日
東海道南方沖(M4.9)


2012年12月26日
東海道南方沖(M5.1)


2011年10月26日
東海道南方沖(M5.0)


2010年08月19日
東海道南方沖(M5.2)


2009年08月10日
東海道南方沖(M4.9)


2009年08月09日
東海道南方沖(M6.9)


2009年01月02日
東海道南方沖(M5.2)



こうしてみると、だいたい1年程度もしくはそれ以下の間隔で周期的にM5前後の中規模地震が発生していることがわかります。


この地震活動のデータを見てまずわかるのが、


東海道南方沖で中規模地震が発生した後に、同領域でさらに大きな規模の地震に繋がった例はないということです。


2009年8月にM6.9の規模の大きな地震が発生していますが、


その前に発生したのが半年以上前の1月ですので、この地震による応力変化との相関関係はあまり考えにくいです。



次に、この領域での深発地震が他の領域での誘発地震に繋がった例はあるのかどうかです。


誘発地震を引き起こす要因としては「応力の変化」「地震波の伝播」があります。


わかりやすく説明すると、


「力の加わり方の変化」と「地震の波が通過する」ことによる影響です。



これを考えると、この地震によって誘発地震が起こる場合に考えられる範囲は、


「地震発生によって地殻変動を伴った領域」と「地震波が伝わった領域」に絞ることができます。



ただ、400kmとかなり深い場所を震源として発生しているため日本列島周辺の活断層やプレート境界、内部にまで応力変化の影響が及ぶとは考えにくいため、


誘発地震が発生する可能性を「地震波が伝わった領域」に絞ることができると考えます。



では、どこに地震波が伝わったのかということですが、


地震波は固い岩盤ほどエネルギーが減衰せず、速く伝わり、軟らかいほど減衰していきます。


そのため深発地震が起きたときにエネルギーが減衰しないまま、硬いプレートの内部を伝わり遠く離れた地表で大きな揺れが観測されることがよくあるのです。


これは「異常震域」と呼ばれています。



異常震域について解説


つまり、プレート内部には広い範囲で地震波が伝わっているということになります。


例えば2009年8月のM6.9の地震によって観測した地表の震度を見てみましょう。


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宮城、福島、茨城、栃木、埼玉、千葉、東京などで「震度4」


岩手、山形、群馬、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡などで「震度3」


その他広い範囲で震度1、震度2を観測しています。



しかし、震源のすぐ近くでは震度1や震度2を観測しているのにも関わらず、


それより離れた関東や東北地方で最大震度の4を観測しています。


これが異常震域と呼ばれるもので、地球科学的には、


このような深発地震はマントル内に沈み込んだ海洋プレートが深さ数百km付近まで沈み込んだところで周囲の熱や圧力によって構造が変化することで発生すると考えられていま 。


沈み込み帯の地下で発生するため、震源の直上にはプレートの境界面と柔らかい上部マントルがあります。


プレート自体は固い岩盤でできていますが、その境界には滑り面や破砕帯などの軟弱な地盤構造が存在しています。


そのため地震波はプレート境界を越えて地表に到達するまでには大きく減衰してしまいます。


しかし、一方でプレート内部では地震動は減衰しにくく、地震波が遠くまで伝搬します。


そして、離れた場所の地盤の弱い土地で強い揺れが観測されるのです。



この2009年8月の震度分布を見ても、比較的地盤の弱い場所で震度3や震度4を観測していて、


さらに海洋プレートに面した地域では揺れが強く、大陸プレート側では揺れが弱い傾向が見られます。



地震動による誘発の可能性


震度分布を見る限りでは、太平洋プレートを地震波が伝わっていることがわかります。


今回のM4.9の地震でも地震動が観測されたのは栃木県で、太平洋プレートに面した領域であると考えられます。



つまり、今後地震が誘発する可能性があるとすれば関東地方や東北地方の太平洋プレートに面した領域ということが言えます。


しかし、観測された地震動は震度1とかなりエネルギーは減衰しているため今回においては特に心配する必要はないと考えられます。