南海トラフ地震警戒情報

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富士山でも起きる火山災害「泥流」のシミュレーション!東名高速道路が寸断!?


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実は火山災害と水は切っても切れない関係にあります。


しかも、その危険度は火砕流にも匹敵します。



例えば、火山灰と水とが組み合わさればライフラインや建物、人間の生活に大きな影響を及ぼします。


そしてもう一つ、水による代表的な火山災害には「泥流(でいりゅう)」というものがあります。




泥流とは?


泥流とは、土砂が水とともに斜面を流れ下る現象です。



火山灰や岩石は、水と混合すると極めて流動的になります。


これらが大量の水で一気に押し流されると、流域にある巨岩をも取り込んで、大きな音を立てながら激しく波打つように突き進むのです。



泥流は水のあるところなら、様々な場所で発生します。


火山の広い裾野(すその)には川が流れていますし、山頂が雪をかぶっていることも多くあります。



たとえば積雪期に噴火が起きることで、山頂の雪が急激に融かされて泥流が発生します。


冬期でなくても、万年氷や氷河がある場所で噴火が起きれば、泥流が発生します。



また、噴火口はしばしば火口湖となっているため、噴火によって湖の水が火山灰や土壌を取り込んで泥流となることもあります。


当然、台風や集中豪雨なども泥流発生の引き金となります。



富士山で発生した泥流


富士山では、1707年の宝永噴火でも泥流が発生しています。
噴火の直後から、厚い降灰が堆積して川を堰き止めていたのですが、その堆積物はやがて崩れ、急激に水があふれ出す鉄砲水となりました。


これによって大量の堆積物が泥流となって流れ出したのです。



この泥流による土砂災害は、富士山噴火の二次災害として長期的に人々を苦しめました。


宝永噴火は、それまでに富士山で起きた噴火と比べてもかなり特異的な災害を広範囲にわたってもたらしました。


とくに流出した火山灰による用水路・河川の氾濫など、農林業を中心とする生産活動・経済活動に大きな被害を与えました。



現代でも、富士山が大噴火を引き起こせば宝永噴火よりも大きな被害を長期的にもたらす可能性があるので注意が必要です。



富士山で起こる泥流の考えられる2つのパターン


富士山の噴火に伴って発生する泥流は大きく2つのケースが考えられます。



1つは、積雪期に積もった雪が融けることで発生する泥流


もう1つは、噴火によって積もった火山灰などの堆積物が雨によって一気に流されることによって起きる泥流です。



また、雨による泥流は噴火後も長い期間、断続的に発生します。



融雪型泥流のシミュレーション


富士山の山頂付近は秋から春にかけて長い間、雪で覆われています。


この時期に山頂から噴火が始まると、雪を融かして大量の水が流れる可能性があります。



たとえば、火砕流が発生した場合には摂氏500度を超える高温により斜面に積もっていた雪や氷が急速に融かされて斜面を構成する土壌や火山灰を巻き込みながら一気に流れ下ります。


これが「融雪型泥流(ゆうせつがたでいりゅう)」です。



融雪型泥流は、たとえ噴火活動がごく小規模であっても大量の土砂を流し出して甚大な被害をもたらします。


そのため、冬期に噴火活動があった場合には、それが小規模であっても十分に警戒する必要があるのです。



富士山で発生する融雪型泥流の被害について、コンピューター上のシミュレーションによって細かく予測されています。




まず、富士山の表面では強風のため雪が屋根に積もることはほとんどありませんが、谷部(こくぶ)では最大10メートルほどの積雪があります。


一般に、風の影響が少ない森林地帯の平均積雪は30~60センチメートルなので、シミュレーションでは富士山の斜面全体の積雪を平均50センチメートルとします。



次に、融雪型泥流が発生する地点は、火砕流の流下によって中腹(ちゅうふく)に厚く積もった雪が融け始める地点としています。


つまり、この地点まで火砕流は高温を保ったまま流下し、ここから下で雪を融かした泥流が発生すると想定しているということになります。




このシミュレーションによると、泥流は下流に向けて川筋を何十キロメートルも流れ下ります。


例えば、北の方向では河口湖に、北東では富士吉田市に、東では御殿場市、南は富士市、南西は富士宮市のそれぞれ市街地に短時間で到達するとされています。


さらに南方へ流れ下った泥流は、東名高速道路を寸断する可能性も指摘されています。



降灰による泥流のシミュレーション


では、次に降灰などの噴火堆積物が雨によって流されることで発生する泥流では被害はどこまで及ぶのでしょうか?



このタイプの泥流として代表的なものが「宝永噴火」による泥流です。


この時の土砂災害を見てみると、火山灰が厚さ10センチメートル以上に降り積もった地域で、泥流災害が集中的に発生していたことがわかります。


そこで、富士山が噴火したときに降灰が10センチメートルを超えるとみられる渓流(けいりゅう)から泥流が発生すると想定し、シミュレーションが行われました。



その結果、富士山から東の地域に偏西風にのって大量の火山灰が降れば、泥流が発生することが明瞭に示されました。


とくに10ミリ以上の雨が降った直後に発生しやすいということも、このシミュレーションから明らかになりました。


到達範囲を見てみると、このタイプの泥流は神奈川県の横浜市藤沢市にも及ぶとされています。



津波をはるかに超える破壊力


泥流は速度が速く、時速数十キロメートルにもなるので、発生してから避難し始めては間に合いません。


そのため、例えば噴火後に雨が降ったり、積雪のある火山で噴火が発生したりなど、泥流発生の可能性が生じたらすぐに避難を開始しなければなりません。



泥流の速度と破壊力は我々の想像をはるかに上回ります。


例えば、津波では50センチメートルを超えると溺れ、1メートルを超えると死亡率は100%になると言われています。


それに対して泥流の場合、20センチを超える泥流に巻き込まれた場合、ほぼ助からないと言われています。


また水深が深い場合は、津波と同様に建物や車も流されてしまいます。



猛烈な水の流れという点では同じですが、大きな違いは泥流は火山灰に加えて、大量の岩石が含まれているということです。


被害は津波のほうが大きく、広範囲ですが、破壊力は泥流のほうがはるかに大きいのです。



また、泥流は噴火からしばらく経ったあとの平常時でも発生するということを理解しておかなくてはいけません。


地上に堆積した軟らかい火山灰を豪雨が流したり、火山灰の積もった急な崖が地震で揺さぶられたりしたときに地すべりとともに発生することもあるので、噴火後は特に泥流の発生に注意をしておく必要があるのです。