南海トラフ地震警戒情報

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街を一瞬で焼き尽くす火砕流!富士山で発生するとどうなるのか!?

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3万人の住む街が一瞬で壊滅


火砕流は様々な地形を乗り越えて、ときに何十キロメートルも離れた場所まで流れ下ります。


また、上空に向かって舞い上がることはなく、個体と気体とが拡散せずに一団となって地を這うように流れます。



火砕流の流動性が高い理由は、細かい火山灰と大量の気体を含んでいることにあります。


このように個体と気体とが攪拌(かくはん)しながら流れる状態を粉体流といいます。


火山灰とガスが激しくかき混ぜられることによって、大きな岩石まで運びながら火砕流は高速で流れるのです。



1902年のプレー火山の噴火により発生した火砕流では、文字通り一瞬のうちにサン・ピエールの街を、約3万人もの住民と一緒に焼き尽くしてしまいました。



サン・ピエール市内は壊滅しましたが、3名だけ、奇跡的に生存者がいました。



翌日に刑執行を控え地下牢につながれていた死刑囚。


地下倉庫に隠れていた靴職人。


そして友人と海賊ごっこをしていて偶然、船で洞窟に逃げ込んでいた少女。



いずれも重度の火傷を負っていましたが、一命を取り留めました。



火砕流は遠くから見ると煙のように見えますが、火山の噴出物が火山ガスなどに混ざったもので、一瞬で人を焼き尽くしてしまうほど非常に高温なものになります。


しかし、このプレー火山の火砕流は「小規模火砕流」に分類され、しかも、危険は予測できていたのです。


ではなぜ、3万人もの犠牲者を出してしまうほどの大災害になってしまったのでしょうか。



プレー火山では、1902年の4月25日から噴火活動が始まり、27日には山頂に直径180メートルの火口湖が形成され、噴出物が15メートルの高さにまで積もっていました。


普通であれば、周辺の住民はすぐにでも避難をしなければならないほど危険な状況だと言えます。



しかし、5月11日に選挙が実施される予定があり、市民が市から退避するのを防ごうと、市の首脳部や新聞社はプレー火山の活動を過小評価し、差し迫った危険を市民に知らせませんでした。


さらに、投票者がいなくなることを恐れた当局は街道を封鎖して、街に住民を閉じ込めてしまったのです。


危険を察知して、自主避難をしようとする住民たちとの小競り合いなども発生していました。



つまり、噴火の兆候がありながらも、市民には安全だと呼びかけ続け、自主避難すらもできないように街道を封鎖していたのです。


その結果、選挙の3日前の5月8日、プレー火山は4度にわたって爆発を起こし、火砕流が街を襲ったのです。


この3万人の命は「人災」によって奪われたものであると言えるのです。



富士山が噴火すればどのような火砕流が発生するのか?


それでは、富士山が噴火すれば、はたしてどのような火砕流が発生するのでしょうか。


火砕流のタイプは大きく3つに分けられます。



1つは、溶岩ドームが崩れて発生するタイプ


2つ目は高く上昇した噴煙柱が崩壊して発生するタイプ


そして3つ目はマグマが急斜面に落下した直後に走り出すタイプです。


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メラピ型火砕流


1つ目のタイプは、溶岩ドームの大きなブロックが砕けながら、急勾配の斜面を転げ落ちることによって発生する火砕流です。


インドネシアのメラピ火山が、成長中の溶岩ドームからよくこのタイプの火砕流を引き起こすことから、火山学では「メラピ型火砕流」と呼ばれています。



溶岩ドームとは、比較的粘り気の強いマグマが地表に噴出したときにできるドーム状の高まりのことを言います。


その下からマグマがせり出してくると、溶岩ドームは次第に大きく成長します。


しかし、大きくなりすぎると、まだ熱い溶岩の塊が端(はし)から崩れ落ちることがあるのです。



この塊がバラバラにはじけることによって、細かくて熱い火山灰が大量に生まれ、小規模な火砕流が発生します。



スフリエール型火砕流


2つ目のタイプは、開いた火口から火砕流が一気に流れ出るもので、「スフリエール型火砕流」と呼ばれています。


ときには火口からいったん上空に噴煙柱(ふんえんちゅう)が立ち昇ってから、崩落して火砕流となることがあります。



たとえば、大型のビルが解体される現場で、ビルが爆破された直後に瓦礫の細かいかけらが崩れ落ち、砂煙が水平方向に広がる様子と似ています。


このタイプの火砕流は、さきほどの「メラピ型」と比べると、より広範囲にわたって流れ下ります。



傾斜が急な場合に発生する火砕流


3つ目は、山頂から噴き出した高温のマグマが、傾斜角30度を超すような斜面に落下したときに発生する火砕流です。


マグマが急な斜面にへばりつくことができずに、下へと転がるのです。



ここで破砕が急速に進んで、粉体流が発生し、


その結果、高温の火砕流となって一気に流れ下るのです。



これらの3つのタイプはいずれも非常に危険で、いつ発生するのかほとんど予測ができません。



日本有名な火砕流には、雲仙普賢岳の噴火があります。


この噴火では、なんの前触れもなく突然溶岩ドームが崩落して、メラピ型の大きな火砕流が発生し、43人の犠牲者を出す惨事となりました。



富士山ではこれまでに「メラピ型」や「スフリエール型」の火砕流は起きていませんが、マグマが急斜面に落下した直後に走り出す3つ目のタイプの火砕流が確認されています。



火砕流に似た現象「火砕サージ」とは


火砕流と同じように軽石を内部に含む高温・高速の流れとして「火砕サージ」というものがあります。



火砕サージの堆積物は、火砕流に比べるとずっと薄いです。


一般に、火砕サージが通過したあとの地面を覆う堆積物の厚さは、数センチメートル程度に過ぎません。



しかし火砕サージは、流域にある建物を倒し、焼き尽くすほどの破壊力をもちます。


また、火砕サージが火山体の斜面に沿って流れる場合は、噴出口から5キロメートルを超える距離まで流れ下ります。



つまり、火砕流とまったく別のものとは考えず、富士山のハザードマップでも火砕流と火砕サージは一緒に取り扱われています。



1991年の雲仙普賢岳の噴火でも火砕流にともなって火砕サージが発生していました。


この火砕サージによって、大野木場小学校が焼失しています。


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このときに残されていた火砕サージの堆積物はわずか5センチメートルほどと極めて薄いものでしかありませんでした。


しかし、その温度は摂氏400度を超える高温で、木やプラスチックでできたものはすべて焼き尽くされてしまっていました。



富士山で火砕流が発生するとどうなるのか?


富士山麓では、詳細な地質調査が行われた結果、富士山の斜面にいくつもの火砕流堆積物が見つかっています。


富士山は、過去に火砕流と火砕サージを何回も発生させていることが明らかになっているのです。



では、この火砕流が発生するとどのような被害が予測できるのでしょうか?



火砕流はいったん発生すると、車でも逃げることができないほどの高速で流れ下ります。


富士山で発生する火砕流の速度は、時速100キロを軽く超えると予測されています。



富士山の火砕流の可能性マップを見てみると、


富士山で火砕流が発生した場合に、どこまで到達する可能性があるかの最大領域が示されています。


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これを見てみると、火砕流と火砕サージの被害は富士山の全周にわたって発生する可能性があるということがよくわかります。



高速の火砕流が流下する場合、前もって遠くに避難するしか手だてはありません。


発生に気づいてから避難するのでは間に合わないのです。



さらに、火砕流が高温の場合には、家屋ごと一瞬で焼き尽くしてしまいます。


人が直接巻き込まれてしまった場合は、ほぼ即死してしまうと考えられます。


頑丈な屋内に避難しても、窓やドアを破って流入してくるため助かりません。


また、火砕流の温度が下がって火傷の程度が軽い場合でも、火砕流に入っている岩片や軽石などの強い衝撃で外傷を受ける可能性が高いです。



火砕流の可能性マップで想定されている到達範囲には、人家の密集する地域は含まれていません。


しかし、山小屋へ宿泊する登山客や数多くの観光客などについては、火砕流の危険性が少なくありません。



また、富士山は冬季には雪で覆われ、最大の積雪は4月ごろになります。


この時期に高所で火砕流が発生した場合には、融雪型の泥流が起きる可能性がきわめて高くなります。


高温のマグマが雪を溶かして体積を増加してから、一気に流下するのです。