南海トラフ地震警戒情報

Twitterにて減災活動、情報発信を行っています。@T1ZEg2jynaj9lQ7


メルマガはこちら(地震予測・調査情報)

火山の噴火で真っ先に注意しなければいけないのは「噴石」と「火山弾」

f:id:tsukasa-fp:20190711213151j:plain




人間に直接的な被害を及ぼす火山噴出物


噴火が爆発的なものになると、火山灰のほかに小石や大きな岩が空から降ってきます。


噴火の際に火口から放出される、火山灰より大きな岩の塊のことを「噴石」といいます。



火山灰や溶岩流と違って、噴石は上空から猛スピードで降ってくるため、人間に直接的かつ深刻な被害をもたらす火山噴出物です。



また、噴石と同様に警戒しなければならないものに「火山弾」というものがあります。


これらは噴火時に突然噴出してくるため、危険を回避するためには十分な知識をもって備えておかなくてはいけません。



大きな噴石はどこに飛んでいくのかは予測ができる


噴石の材料は、それまでに火口を埋めていた溶岩などです。


これらが噴火によって砕かれて、様々な大きさの岩の塊となって空高く放り上げられるのです。



また、噴火が穏やかなものから爆発的なものへと変化すると、これらの岩はかなり遠くにまで放出されます。



岩塊(がんかい)の直径が数十センチメートル以上になると、空気の抵抗は無視できるほど小さくなります。


このような大きな岩塊は、最初に放り出された力のままに、放物線を描いて飛んでいきます。


これを「放物線軌道」と呼びます。



放物線軌道は、最初に射出される速さと、放り出される角度が決まれば、どこに落ちるかが予測できます。


弾道方程式」というもので、高校の物理学を学んだひとであれば聞いたことがあるかもしれません。



つまり、大きな噴石は飛んでいく方向飛んでいく方向が予測できるということです。


また、噴石の大きさと、それがどこまで飛んだのかというデータを集めることで、過去の噴火における爆発のエネルギーを計算することもできます。



反対に、直径約10センチメートル以下の小さな岩になると、空気抵抗が大きくなり、風に流されます。



www.nankai-trough.xyz


弾丸のように飛んでくる火山弾とは?


噴石と同じく、噴火の際に火口から飛び出すものに火山弾というものがあります。


まさに、空中を弾丸のように飛んでくることからこのような呼ばれ方をしています。



噴石と違うのは、火山弾はマグマがまだ軟らかい状態であるため、様々な形に変形します。


たとえば、ラグビーボールのような紡錘形(ぼうすいけい)をした火山弾がよく見られます。



回転楕円体(かいてんだえんたい)と呼ばれる形状で、実際にクルクル回りながら飛んでいくことで、このような形になります。


この形が最も空気抵抗が少ないため、軟らかい状態の火山弾の多くはこのような形になるのです。



その他にも、リボンのように細くねじれたり、着地してから餅のように潰れるものもあります。


これらも呼び名があり、「リボン状火山弾」や「牛糞状火山弾」などと呼ばれています。



また、表面だけが割れてメロンパンのような形になった火山弾もあります。


空中を飛ぶうちに、マグマの表面が冷やされて固まるのですが、中身はまだ高温を保っています。


これが地面に着地してからゆっくりと膨張することで、表面が割れてこのような形になると考えられています。


これは「パン皮状火山弾」と呼ばれています。



回転楕円体のように遠くに飛ばないため、これらの火山弾は、いずれも火口の近くで見つかることが多いです。



過去に起きた噴石による被害


浅間山が大噴火した1783年の天明噴火では、10キロメートルほど南にある軽井沢の宿場に噴石が降りました。


このことについて古文書には「焼石」と書かれており、岩に当たって死者が一人出たとされています。



また、家屋が破壊され、噴石のもつ熱によって民家の屋根が焼けたりしたとも書かれています。


高温の噴石が降った場合、火災を引き起こしたり、地面を焦がしたりすることがあるのです。



また、1986年には鹿児島県の桜島で噴石が麓の古里温泉(ふるさとおんせん)を直撃しました。


火口から3キロメートルも離れた国道沿いに位置している旅館にまで達した噴石は、玄関ロビーの屋根を大破し、地下室まで貫通しました。



噴石の大きさは直径2.5メートルもあり、6人の負傷者が出ました。



噴石が落下した地点では、地面に大きな穴が開きます。


2000年の有珠山(うすざん)の噴火でも、国道230号に多数の噴石が降り、建物や道路が穴だらけになりました。



噴石の予測は難しく、火山学者ですら被害に遭ったことがあります。


南米コロンビアにあるガレラス火山の1993年噴火では、噴石により9人の犠牲者が出ました。


火口の近傍(きんぼう)にいた人たちが、突然始まった小規模な噴火で飛ばされた噴石に当たって死亡したのです。


このうちの6人が調査中の火山学者でした。



小規模な噴火でも火口周辺は危険


噴石は当たれば即死してしまうほど危険なものです。


噴石が降ってくるなかで被害を食い止めることは非常に困難といえます。



噴石の被害に遭わない最も有効な方法は、降ってくる可能性のある場所から離れることしかありません。


噴石は、火口から4キロメートル程度の範囲に降る事が多いです。


しかし、直径1メートルを超えるような大きな噴石は、火口から2キロメートルの範囲内に落下します。



そして、飛んでくる方向は上空を吹いている風向きに左右されます。


風下側では、かなり大きな噴石が飛来し、小さいものは風にのってかなり遠くにまで運ばれます。



また、火口の形によっても飛ぶ方向が左右します。


火口が開いた、つまり火口をつくっている壁が低い方角には、より大きな、そしてより多くの噴石が飛んでいきます。



空中写真で火口の形を把握しておけば、どの方角に噴石が飛びやすいのかが予測できますが、大規模な噴火になってくると、噴火の最中に火口の地形が刻々と変わることが多いため、現実的には難しいです。



噴石の予測は、まだまだ研究途上にあります。


まず、理解しておかなければいけないことは、噴火が始まったら真っ先に降ってくる可能性が高いのは「噴石」である。ということです。


たとえ、小規模な噴火であっても火口の周辺には無数の噴石が落下するため危険であるということは頭に入れておかなければいけません。