南海トラフ地震警戒情報

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人々の生活を一変させてしまう火山灰の被害!火山灰はガラスの破片!?

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これまで何度も噴火を起こしてきた富士山


富士山はこれまで、火山灰を噴き上げたり、溶岩を噴出したり、火砕流を発生させたり、泥流を流したりと、様々なタイプの噴火を何度も繰り返し引き起こしてきました。


このような噴火を何度も繰り返した結果、溶岩や火山灰が次々に層を成して積り、現在のような美しい形ができたのです。



日本の多くの地域で、類似の成層火山が「〇〇富士」と呼ばれています。


北海道の羊蹄山青森県の岩木山鹿児島県の開聞岳などでは、いずれも富士山同様、火山噴出物によって広い裾野が形成されました。



日本一高い成層火山となった富士山は、過去に大きな噴火を数十回も繰り返し、火山灰や溶岩など様々な物質を火口から噴き出してきました。


これらの噴出物が我々人間に様々な被害をもたらすのです。


その被害とは、どんなものがあるのでしょうか?



人々の生活を一変させてしまう火山灰


そもそも火山の噴火による被害というのは、地震に比べるとかなり頻度が低く、人が一生に1回出会うかどうかとも言われるほど珍しいものです。


そのこともあり、20世紀後半に起きたアメリカやフィリピンでの大規模噴火は世界中から注目を浴びました。



アメリカ合衆国の西部ワシントン州に、セントへレンズ火山という活火山があります。


1980年に、約123年ぶりの大噴火を起こし、火山灰を大量に噴出しました。


噴出した大量の火山灰は、風に乗ってはるか遠くまで運ばれ、広範囲にわたって降り注ぎました。


上空では偏西風と呼ばれる強い風が西から東へ吹いているのです。



突然の火山灰の飛来は、風下に住む人々の生活を一変させてしまいました。


突然、地平線上に広がった真っ黒な雲が不気味に近づいてきて、その黒雲の先端が頭上に届くやいなや青空はかき消され、あたりは漆黒の闇と化してしまいました。


そして闇に包まれると同時に、火山灰が大粒の雨のようにぼたぼたと降ってきたのです。



そして、あたり一面はまるで雪が積もっているかのような銀世界。


しかし、真っ白く積もった火山灰はまったく雪とは性質が違いました。


焼け付く日差しにも溶けることなく、水で洗い落とすと下水道が詰まってしまうのです。



乾けば風で舞い上がり、自動車やエアコンのフィルターを目詰まりさせます。


当然、火山灰の積もった道路を車で走行することは困難で、街の至るところに動かなくなった車が置き去りにされていました。


さらに火山灰は建物にまで侵入し、精密機器を故障させてしまいました。


もちろん、人間が吸い込むと呼吸困難や肺気腫などを起こすとされていて、人々は引きこもりがちの生活を続けざるを得ませんでした。


また、雨が降れば、積もった火山灰の重さで電線が切れたり、時には建物を倒壊させてしまいました。



宝永噴火の火山灰


富士山でも、江戸時代に火山灰の被害を出しています。


1707年、南海トラフ巨大地震に誘発されて、約200年ぶりに富士山が大爆発を起こしたのです。


宝永噴火」と呼ばれるものです。



この噴火では、火山灰と軽石が大量に噴出し、東へ飛んでいきました。


大量に出た細かい火山灰は、偏西風に乗って横浜や江戸方面へ降り積もったのです。



古文書の調査によると、火山灰は横浜で10センチメートル、江戸では5センチメートルの厚さになったと推定されています。



いったん上空に噴出された火山灰は、なかなか落ちてきません。


記録によると、この時の火山灰は3週間も舞い上がったと書かれています。


地面に落ちても、再び風に乗って舞い上がってしまうからです。



火山灰はただの燃えカスではない!?


火山灰は、タバコや炭が燃えて残る灰とはまったく異なります。


火山灰は、軽石や岩石が細かく砕かれたもので、拡大して見てみるとガラスの破片のような形をしています。



軽石とは、液体のマグマが引きちぎられて冷えて固まったものです。


溶けていた水が水蒸気となり、熱いマグマが泡立つときに軽石ができるのです。



この泡が、軽石の中では小さな穴となって残っています。


これを気泡といい、気泡をもつ軽石がさらに細かく砕かれて火山灰ができるのです。



ここで一度「ガラス」を思い浮かべて見てください。


皆さんはおそらく「ガラス」というと、窓ガラスガラスの机コップなどを思い浮かべると思います。



しかし、実は「ガラス」というのは正確には「物質がきちんとした結晶構造をもたない状態」のことを言います。


ガラスは結晶に比べると脆く、細かく割れると鋭い破片になります。



火山灰の正体は、「ガラスの破片」なのです。


マグマが急に冷やされて固まると、ガラスの状態になります。


もしマグマがゆっくり冷えると、ガラスではなく結晶ばかりの塊になります。



つまり、マグマが引きちぎられて空中へ放り出され、急速に冷えることでガラスの破片となったものが火山灰なのです。


そして、岩石の細かいカケラである火山灰は、水に溶けることもなく、いつまでも消えることがありません。



乾燥すれば何週間も空中を舞い上がり、雨が降るとセメントのように固まってしまうのです。



防災に欠かせない降灰の予測マップ


火山灰はいつまでも消えることがないと説明しましたが、そのため、火山灰は大量に積もると地層として残ります。


降り積もった火山灰は過去の噴火の証拠となるのです。



富士山では宝永噴火や平安時代の貞観地震の証拠にもとづき、今後の予測がなされています。


ハザードマップでは季節ごとの降灰分布を示す地図が作成されるのですが、基本的に日本の上空には偏西風が吹いているため、火山灰は東の方角へ飛んでいきます。


ただ、季節によって風の向きは多少異なります。


たとえば、冬の間は強い西風が吹いているので、火山灰は東へ集中的に飛ばされるのですが、夏の間は風向きが変化しやすいので全方向に散る傾向があります。



こうした降灰の変化をすべての月ごとに示した地図を降灰の「ドリルマップ」といいます。



そして、このドリルマップをすべて重ね合わせた地図を作成します。


これを降灰の「可能性マップ」といいます。


つまり、1枚の地図で12か月分を1度に見渡せるように重ねた図ということになります。



火山灰の積もる厚さから被害を読み取ることができるため、防災に役立つ非常に便利な地図です。