南海トラフ地震警戒情報

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南海トラフの「周期説」の信憑性は?プレスリップの観測で地震予知は可能なのか?


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地震予知に費やした予算3000億円


東日本大震災では、自宅や家族が心配で様子を見に戻ったり、津波がここまでくるとは思わなかったと信じて逃げ遅れた人が数多く命を失うことになりました。


避難するのが数分、数十秒遅れたために津波にさらわれて亡くなった人々が大勢いるのです。


この巨大地震がもし直前に予知ができていれば、少なくとも命は失わずに済んだはずです。




1993年7月12日には、北海道南西沖地震(M7.8)が発生した際、震源に近かった奥尻島が津波に襲われ、200人を超える人々が犠牲になりました。


この地震について、新聞では「観測体制の不備をつかれた」と書かれていました。


奥尻島には地震計さえ設置されておらず、現地を襲った正確な震度さえ把握できていなかったのです。




その一方で、大規模な「東海地震」を警戒し、駿河湾周辺にはきめ細かな観測網が設置されています。


東海地震を予知しようと、約3000億円という大金を費やしたにもかかわらず、「地震の予知は不可能」として諦めてしまっているのです。



何千億単位の予算を注ぎ込んで観測網の充実を図ってできるようになったのは、すでに起きた地震のデータを詳しく観測することです。


しかし、観測網をどれだけ充実させても、それ以上のことはわからないのです。


つまり、いくらお金を投じようと、これから起こるであろう地震を予知することはできないのです。


現に、圧倒的に予算の少ない民間の地震予測研究を行う学者達のほうが予測の精度は高いように思えます。




ある仮説を立てて、その仮説が正しいかどうかを科学的に検証していくのが「研究」です。


「観測」「研究」ではまったく意味が違ってきます。



「とりあえず予算を使って観測データを積み上げていけば、地震予知がなんとか可能になるだろう。」と思いつきで計画を立てて上手くいくほど簡単なものではないのです。



地震予知の曖昧すぎる基準


ネット上ではあらゆる方が地震予知を行っています。


その予知が成功したのかどうかを検証するためには、予知する地震の「大きさ」「場所」「発生時間」許容範囲を事前に明らかにしておく必要があります。



この3つをはっきりさせておかなければ、予知が成功したのか失敗したのかを判断することができません。



予知の範囲


例えば、「関東でマグニチュード7の地震が起きる」という予知がされた場合、その「関東」というのは範囲が広すぎて一体どこを指しているのかがわかりません。


「東京」と「関東」では成功の確率が何百倍も変わってくるのです。



なお、誤解があるといけないので書いておきますが、あくまで私が行っているのは予知でも予言でもなく、統計的な調査から判断した確率論的な「予測」です。



また、仮に半径100キロメートルと指定された場合であっても、実際に半径110キロ地点で地震が発生したら、10キロ程度の許容範囲なら予知に成功した、という考えが生まれます。


たしかに10キロ程度の許容範囲であれば。と頷けない事もありませんが、これが120キロでも130キロでも、驚くことに200キロ地点で発生した地震に対しても「予知成功」と判断されてしまうのです。



このように「予知成功」の基準がどんどんあいまいになっていくのです。



時間的な許容範囲


次に時間に関しても許容範囲を設定する必要があります。


東海地震のレポートには、時間的な許容範囲が一切記されていません。


これまでの35年間に、もし東海地震が発生していれば「予知成功」となっていたと思います。


幸いにもこれまで東海地方で大きな地震は発生していません。


しかし、予知自体に明確な期限がないために、東海地震は「予知失敗」ではなく、今もなお「切迫している」ということになっています。



先ほどの予知範囲と同じで、1年や2年は許容範囲であり、「予知成功」とされてしまうのなら、まだ納得できないことはありません。


問題なのは5年後や10年後でも「許容範囲」とされてしまうことです。



マグニチュードの許容範囲


地震の大きさについても同様です。


マグニチュードを特定するだけでなく、その許容範囲も示す必要があります。



例えば「マグニチュード7の地震が起こる」と予知して、その後、マグニチュード6の地震が起こったとき、これは予知成功と認めていいのかどうか、判断が難しいのです。


そのため、マグニチュード6.0~7.0までの間、と許容範囲を明確に示す必要があります。




ちなみに、マグニチュードは1.0大きくなれば、発生頻度は10分の1少なくなります。


反対に1.0小さくなれば、発生頻度は10倍大きくなります。


この法則は「GR法則」と呼ばれています。



周期説の信ぴょう性


何万年という長いタイムスケールで考えると、地震はたしかに平均的に同じひずみエネルギーを解放する活動を続けます。


しかし、それを数百年程度という人間のタイムスケールで考えるとかなりのばらつきがあります。


「大数の法則」というものが理解できていれば、そんなことは少し考えればわかるはずです。


大数の法則は数十回程度ではバラツキのあるものでも、何百回、何千回と数多くの試行を重ねることにより事象の出現回数が「理論上の値」に近づくことをいいます。


しかし、南海トラフの周期は数十回どころか、わずか数回程度の試行しか重ねていないということになるのです。




どういうことかというと、例えば、南海トラフ地震の周期は「100年~150年」と言われていますが、これはあくまで人間の数百年という地球からすれば瞬きに過ぎないほどの時間の尺度で算出された数字です。


これを数万年、数百万年というタイムスケールで考えると、たとえば50年というかなり短い周期で発生したこともあれば、300年という長い期間活動しなかったこともあるかもしれません。


たかが数百年という尺度でさえ「100年~150年」と50年も幅があるのです。


これが数千年、数万年と長くなれば長くなるほど、その幅も広がっていくことは容易に考えられます。


先ほど言った50年や300年という数字もまったくあり得ない数字ではないことがわかります。


しかし、それらを平均していくと、ある一定の値に近づきます。これが本来の南海トラフ地震の発生周期となるはずなのです。


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南海トラフ地震やその他の地震の「30年以内に発生する確率」というのは、主に「周期」をもとに算出されたものです。


とすれば、その確率値にもまったく信ぴょう性がないということになってしまうのです。


長いタイムスケールで考えると、もしかしたら南海トラフ地震の周期は、極端に言えば、平均50年かもしれないし300年かもしれないのです。



そもそも人間の考える短期的な時間の尺度で、スケールの大きな地球を語ること自体が間違っているのです。



プレスリップは想像の理論モデルでしかない!?


「東海地震の発生の前にプレスリップがある。このプレスリップを観測すれば、地震を事前に予知できる。」


このことがメディアで大きく発表されたことで話題となりました。



これを発表した学者は、「前回の東南海地震の前にプレスリップがあった」と言っています。


しかし、根拠とされるデータがかなり古いため、深刻なノイズの問題である可能性も考えられるため、データとしての信憑性は低いです。


また、東南海地震の前には何らかの地殻変動があったかもしれませんが、それも地震と無関係のローカルな原因であった可能性も高いのです。



さらに現在では、GPSなどの技術革新は目覚ましく、地震の測定精度は格段に向上してきています。


かなり精密な観測が可能になっても、日本を含め、世界中でプレスリップが観測された例は一つもないのです。




この研究は、大地震の前には観測可能なほど十分に大きく顕著なプレスリップが起きるため、それを捉えることで予知ができる、という理論モデルです。


しかし、このモデルは、観測データと合わせたうえで検証・立証されたものではありません。


つまり、本当にプレスリップが存在するのかすらわかっていないのです。



地震予知は割りばしがいつ割れるかを正確に当てること


地震予知と聞いても、一般人にはその難しさがわかりにくいです。


しかし、身近なものに例えてみると、それがどれだけ困難なことなのかがわかります。




まず、一本の割りばしを地殻と見立て、その割りばしを両手で持ち、少しづつ曲げていきます。


じわじわと曲げていくと、ある時点で割りばしは二つに折れてしまいます。


これが「地震現象」です。



割りばしを曲げていけば、いつかは必ず破壊現象が起きる事は誰でもわかります。


しかし、割りばしがいつ折れるのかを正確に予知することはできません。


なぜなら、割りばしの構造や、力の加え方や速度、曲げ方、方向、持ち方、外部環境など非常に多くの要因が複雑に関わるからです。


同じメーカーで製造された割りばしであっても、材質がまったく均質なわけではありません。


木材も生き物なので、強度が少し強かったり、弱かったり、その材質にはバラツキがあります。


また、外部環境、たとえば湿度や気温にもかなり左右されます。



普通に使っていても普段は割れないのに、ある日、普通に割りばしでご飯を食べているときにポキッと割れてしまった経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?


絶対折れない、もしくは相当力を込めないと折れないと思っていたものが突然折れるのです。


これが地震という「自然現象」なのです。


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