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片腕を失ったり、片眼を失明しても災害法では「障害」と認定してもらえない!?厳しい災害障害見舞金の支給基準

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個人の生活再建を支援する法律


災害の復旧のためには、個人の生活再建が一刻も早く行わなければなりません。


生活再建を支援する法律としては、「災害弔慰金の支給等に関する法律」や「被災者生活再建支援法」があります。


また、その他にも生活を支える金銭支給の制度として、「義援金」、「地震保険」、「生活保護」などがあります。



1973年に災害弔慰金等法が成立するまでは、個人に対する金銭支給の制度はありませんでした。


被災者個人への金銭補償を否定する政府の姿勢は戦後一貫しており、災害弔慰金も生活再建よりも慰謝・見舞が法の目的とされています。



災害弔慰金等法ができたきっかけ


災害弔慰金等法が制定されるきっかけとなったのが、1967年8月に新潟県下越地区で発生した羽越豪雨水害でした。



羽越豪雨水害は、犠牲者138人にのぼる大災害でした。


現職の参議院議員の父と母、長男と三男を亡くした佐藤隆氏は、「この怒りと悲しみを誰にぶつけたらいいのか」と自然災害救済の法律制定を訴え、参議院議員補欠選挙に当選しました。


その後、災害に対する個人補償をめぐる議論は紆余曲折を経て、72年にようやく災害弔慰金等法案をまとめあげ、同年に成立しました。



当初は、災害弔慰金のみ支給する内容でしたが、その後、災害障害見舞金も新たに付け加えられ、支給額も当初の最高50万円から順次引き上げられ、現在の最高500万円となりました。



行方不明や関連死でも弔慰金が支給される


災害弔慰金等法には大きく次の3つの内容が定められています。



①災害によって家族を喪った遺族に対して災害弔慰金を支給すること


②災害で重い障害を負った者に災害障害見舞金を支給すること


③被災者に対して災害援護資金の貸付けを行うこと



災害弔慰金の支給の主体は市町村です。


支給減資のうち国が2分の1、都道府県が4分の1、市町村が4分の1を負担しますが、市町村の負担分は特別交付税で手当てされるため、実質的な財政負担はありません。



市町村は、条例を制定して支給を行います。


そのため、条例により独自財源で支給対象者を広げたり、支給額を増額したりすることも可能なのです。


実際、法律よりも広く支給する市町村もあります。



弔慰金は、親族が亡くなった場合に支給されますが、行方不明であっても災害から三か月が経過すれば弔慰金の請求ができます。


行方不明者の家族には、「どこかで生きていると信じたい。」「まだ届けは出したくない。」という人もいます。


しかし、弔慰金を受領したからといって、戸籍上亡くなったという扱いになるわけではありません。



また、災害によって直接亡くなった場合だけでなく、災害に起因して亡くなった場合にも弔慰金は支給されます。


例えば、阪神・淡路大震災では919人、新潟中越地震では52人、東日本大震災では1600人以上の人が「関連死」と認められました。



支給額は、亡くなった方が主たる生計維持者であれば500万円、それ以外だと250万円とされています。



支給される遺族の範囲は?


遺族は、配偶者、子、父母、孫および祖父母の範囲でしたが、東日本大震災の改正で同居または同一生計の兄弟姉妹も含める事となりました。


改正のきっかけは、東日本大震災で行われた法律相談でした。



一緒に暮らしていて、いずれかが津波に流されて亡くなってしまった。
なぜ弔慰金が出ないのか?自分は遺族ではないのか?


というような相談が相次ぎました。


「民法」や「労災補償法」など他の法律では兄弟姉妹は遺族として取り扱われているのに、災害だとなぜ違うのか?


これに共感した弁護士らによる運動がきっかけとなって、2011年7月に法律が改正されたのです。



災害によって支給されたお金は差し押さえ対象外となる


災害弔慰金は、あくまでも遺族に対する慰謝・見舞の趣旨であり、借金の引き当てになるべきものではありません。


しかし、債権者が差し押さえを行う可能性が懸念されました。



東日本大震災後、日弁連などからの要請を受け、2011年8月に法律が改正され、差し押さえが禁止されました。


それと同時に、被災者生活再建支援金や災害障害見舞金、義援金などに対する差し押さえも禁止となりました。



片腕を失っても見舞金が給付されない!?


災害弔慰金等法は、災害障害見舞金も支給しています。


主たる生計維持者の場合は250万円、それ以外は125万円です。



災害障害見舞金の支給対象者は次の通りです。



・両目が失明したもの


・咀嚼および言語の機能を廃したもの


・神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの


・胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの


・両上肢をひじ関節以上で失ったもの


・両上肢の用を全廃したもの


・両下肢をひざ関節以上で失ったもの


・両下肢の用を全廃したもの


・精神または身体の障害が重複する場合、その障害の程度がこれらと同程度以上と認められるもの



こうした重度の障害を負った人に見舞金を給付するのは当然です。


しかし、これに至らないケース、たとえば片目を失明した場合や、片腕を失ったという場合は、障害と認められません。


阪神・淡路大震災では重度の高次脳機能障害を負ったにもかかわらず、見舞金の対象にならなかったという人もいました。



災害障害見舞金の支給対象者を、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の障害等級1~3級程度に広げること。


一時払い金だけでなく10年程度は上乗せ年金方式で支給すること、医療機関のカルテに震災を原因とする旨を明記することなど、改善すべき点は多くあります。