南海トラフ地震警戒情報

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避難所を出た人には食料供与できない!?「3.11」後に起きた法律問題!

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東日本大震災後に寄せられた膨大な法律相談


2011年3月11日に発生した東日本大震災は、犠牲者1万8800人を超えました。


地震による大津波、液状化、地盤崩壊、地盤沈下、火災などの複合被害に加え、東京電力の福島第一原子力発電所事故による大量の放射性物質漏洩という大災害となりました。



東日本大震災では、既存の法制度だけでは対応できない事態であるとの認識から、法令改正などの立法活動が積極的に行われ、1年間に45の法律が制定されました。


阪神・淡路大震災で緊急措置された法律は16であり、その後の大災害では特段の立法措置が講じられなかったので、それと比べればかなり踏み込んだ立法活動だったことがわかります。



東日本大震災で弁護士会が行った法律相談は、1年間で約3万8000件に及ぶといいます。


平均すると1日あたり100件を上回るペースで法律相談の依頼がきていることになります。


しかもこの数字は、岩手・宮城・福島の被災3県を中心に展開された法律相談のうち、日本弁護士連合会が把握できたものをカウントしたに過ぎません。



岩手県では、ローンの問題や支援金制度についての相談が特に多くありました。


三陸沿岸地域は過疎高齢化と人口減少が深刻で、震災前から構造的不況を課題として抱える地域でした。


そこに津波が襲ったことが見て取れます。



宮城県は、借家や相隣関係に関する相談が多く、沿岸部だけでなく内陸部の被害も目立ったことや、被災地に都市部が含まれていたことがわかります。



福島県は、原発事故に関連する相談が圧倒的に多くありました。


また、いずれの地域でも時間の経過とともに相続に関する相談は増加しています。



避難所を出た人には食事を供与しない?


東日本大震災後、避難所である少年がボランティアの大人たちに疑問をぶつけました。


「なぜこんな粗末な食料しか配給できないのか?」


「お年寄りや子供たちの健康を考えてあげられないのか?」



しかし、この疑問を抱く者はなにも子供達だけではありませんでした。


実は、法律により、避難所での食事は1人1日1010円と決まっているというのです。



さらに8月には、宮城県で避難所を出た人々に対して食事供与を打ち切る方針が出されました。


そうなると、用意した仮設住宅に入居せず、避難所に留まる人が続出し、大量の空室が発生するという事態になったのです。


これを報じた記事には「法律で、避難所を出た人には食事を供与できないことになっている」と記載されました。



しかし、このような法律の理解は間違いであり、災害救助法にはそのような規定はないのです。


法律と運用基準が明らかに混同されているのです。


災害に関する法制度は、様々な規範によって構成されています。


法律そのものと、その下位にある政令、規則、通知、運用基準などは区別しなければいけません。



法的な拘束力はない!?


「法律」は、最高法規である「憲法」の下、国会で決められた全国統一のルールです。


ただ、法律ではあまり細かいことは決められません。


そこで、細部は政府の定める「政省令」で補います。


政省令は法律と一体となって法制度を構成しており、両者をまとめて「法令」と呼ぶことがあります。



政省令は法的な拘束力がありますが、法的な拘束力のない行政機関の基準もあります。


その1つが「通知」です。


それよりも格下に「事務連絡」がありますが、法的拘束力がないという点では同じです。


また、通知と合わせてマニュアルやガイドラインが示されることもありますが、これらも位置づけは通知と同じで、あくまでも一つの行政機関の目安に過ぎません。



ちなみに、東日本大震災の際の避難所での食事の費用額の基準は「通知」や「事務連絡」により定められた基準にあたります。


したがって、救助を実施する地方自治体に対する法的な拘束力はないのです。