南海トラフ地震警戒情報

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火山噴火によって引き起こされる「大飢饉」「核の冬」「大津波」とその原因!

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日本を脅かしてきた火山災害


日本には、火山によって様々な恩恵を受けてきた一方で、火山災害に痛めつけられてきたという長い歴史もあります。


約7300年前の九州南方の鬼界カルデラ噴火では、九州をはじめ日本南部にあった先史時代から縄文初期の文明が断絶してしまいました。


それほど大規模ではなくても、これまで日本人は数々の噴火に苦しめられてきました。



例えば18世紀は大きな噴火災害が続発した世紀でした。


中でも大きな災害になった噴火として1783年に起きた「浅間山の噴火」があります。

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この噴火では周辺の約1200人が犠牲になり、さらに東北地方で膨大な数の餓死者を出した「天明の飢饉」が起きました。



また、同じ年にはアイスランド・ラキ火山の噴火もありました。

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ラキ火山から出た大量の火山灰が世界全体の気候を変え、深刻な食糧不足などを引き起こしました。


この影響は日本にまで及びました。


天明の大飢饉は、浅間山とラキ火山の二つの噴火による異常気象によって引き起こされたのです。



同じ年には青森県の岩木山も噴火しましたが、浅間山よりもずっと小さな噴火で、飢饉には浅間山の噴火ほど影響しなかったと考えられています。


天明の大飢饉は6年間も続き、全国で推定約2万人が餓死したと伝えられています。


しかし、被害が大きかった各藩が「失敗のために飢饉が拡大した」と幕府から指弾されるのを恐れて、被害の実態を正直に報告しなかったため、実際の死者数はそれよりもはるかに多かったのではないかと考えられています。


天明の大飢饉が6年間も続いたのには火山以外の要因もあったと言われています。


大型のエルニーニョがちょうどその時期に発生したことで、日本だけではなく世界中の気象に影響を与えたのです。


エルニーニョが起きると、日本を湿った空気が包み込みます。


そのため、雨が降りやすい状態が続き、各地で集中豪雨や洪水などが発生します。


そして他方のオーストラリアやインドネシアでは雨が降らず乾燥した暑い日が続き、大規模な干ばつが起きます。



世界の気候まで変えてしまう火山噴火


天明の大飢饉は、浅間山とアイスランドのラキ火山によって引き起こされました。


このうち、1783年のラキ火山の噴火は火山灰や火山ガスが北半球全体を覆って、それが各地で異常気象による不作などを引き起こすほどの大規模なものでした。


噴火した火口は約130個にもなり、火口列の全体の長さは25キロメートルにも達しました。


火山灰や火山ガスだけではなくて、大量の玄武岩質熔岩が噴出しました。



「核の冬」を引き起こした火山噴火


このように火山の噴火が世界の気候に大きな影響を及ぼして被害を出した例は、実はたくさんあります。


インドネシアの中南部スンバワ島にあるタンボラ火山は1815年に大噴火して地元に大きな火山災害を起こしました。


また、それだけではなく世界の気候を変えてしまいました。


この噴火は過去2世紀の間では世界で最大規模の噴火でした。



このタンボラ火山の噴火で、以前は高さ4000メートル近かった山頂が吹き飛んで約2800メールになってしまいました。

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噴出物の総量は東京ドーム10万杯分にもなる、150立方キロメートルに及びました。


この大噴火によるインドネシアの直接の死者は1万人にのぼり、噴火後の食糧枯渇のための餓死や流行した疫病を含めると9万人もの死者を出しました。


このタンボラ火山の大噴火があった1815年の夏は世界的に異常な低温になりました。


舞い上がった火山灰は地球に降り注ぐ太陽の光と熱を遮り、世界の気候を変えてしまったのです。



米国北東部では異常低温になって雪や霜が6月まで見られたほか、英国やスカンジナビア半島でも5月から10月まで長雨が続いて異常低温によって農作物が不作になり、食糧不足が生じました。


この影響は翌1816年も世界各地で続き「夏のない年」と言われました。

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また、タンボラ火山の噴火後5年間にもわたって、世界各地で太陽が異常に赤っぽく見えたり、太陽のまわりに大きな輪が出現する「ビショップの環」が見えたりしました。


つまり、噴火で舞い上がった火山灰は、それほど長い間にわたって世界中の空を漂っていたのです。


そのため、何年にもわたって冷害が続き、農作物の不作を引き起こしました。


世界的な核戦争が起こったら訪れると恐れられている「核の冬」と同じことが火山噴火で起きたのです。



火山噴火は津波も引き起こす


インドネシアのクラカタウ火山は1883年に海面近くで大噴火したことで、大津波を引き起こし多くの犠牲者を生みました。

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この噴火は火山島が吹き飛んでしまったほどのすさまじいものでした。


死者は3万6000人にも達し、その多くは山体崩壊が起こした津波によるものでした。


山体崩壊とは、噴火や強い地震動が引き金となって山が大規模に崩壊する現象のことです。



火山周辺では火山活動が繰り返されることによって不安定な火山地形が生まれます。


また、風化作用や火山の内部での熱水作用などの結果として山体が崩れやすくなっていくのです。



地震による津波で大きな被害を生んだ2004年のスマトラ沖地震までは、このクラカタウ火山による被害がインドネシア最大の津波による災害でした。


クラカタウ火山はこの大噴火の前にも、535年に大噴火をしています。


この噴火も日本の鬼界カルデラ噴火同様、インドネシアの文明に断絶を引き起こしました。


当時5~6世紀のジャワ島西部にはカラタンと呼ばれた高度の文明が栄えていたと言われていますが、この噴火で姿を消してしまったのです。


さらに、535年の大噴火の影響はインドネシアにとどまらなかったという説があります。


タンボラ火山同様、1883年のクラカタウ火山の噴火もインドネシアにはとどまらず、世界の気候に影響を与えました。


舞い上がった火山灰が地球に降り注ぐ太陽の光と熱を遮ったため、北半球全体の平均気温を0.5~0.8度下げてしまったのです。


それによって何年もの間、世界的な冷害による農作物の不作が引き起こされました。


また、その後数年にわたって異様な色の夕焼けが観測されました。



北海道を襲った謎の大津波


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1741年に北海道・渡島半島の西方沖の渡島大島で噴火が起き、約1500人が亡くなりました。


これは火山灰による災害ではなく、火山の山体崩壊の岩屑なだれが起こした津波による被害でした。


被害は定住人口がなかった渡島大島ではなく、対岸にある渡島半島で特に大きかった。


実はこれが噴火による災害であることは近年まで知られていなかったのです。


当時、大地震を感じたわけでもないのに、早朝、渡島半島の西側をいきなり大津波が押し寄せてきたのです。


この津波は、佐渡や能登半島や、さらに遠く若狭湾や朝鮮半島にまで達したことが記録されています。



6日ほど前から渡島半島から対岸に望める渡島大島が噴火をしていました。


そのため、もっと大きな噴火が起き、火山灰くらいは降るかもしれないと渡島半島の人たちは注意をしていましたが、まさか大津波が襲ってくるとは思っていなかったのです。


なぜ、沖合50キロメートルも離れている火山が噴火して、このような大きな津波が発生したのか、その原因は長い間「謎」とされてきました。


よく知られている津波は海底で大地震が起きたときに発生するものです。


近年、日本海中にプレート境界があり、1993年の北海道南西沖地震や1983年の日本海中部地震が起きたことによって、これらの地震がこのプレート境界で起きた地震であることがわかってきました。


渡島大島は、ちょうどこのプレート境界に位置していたのです。


そのため、渡島大島で起きた大津波は噴火ではなく大地震によって引き起こされたものではないかと疑われていたのです。



北海道南西沖地震も日本海中部地震も大きな津波被害を生んでいます。


もし、渡島大島の津波災害が同じような大地震が原因だったとしたら、大津波が生まれるのは不思議ではありません。


しかし、もし大地震が起きたのだとしたら地震の揺れによる被害があったはずですが、地震の揺れによる被害は一切記録されていないのです。



近年、海底の精密調査を行ったことによって、この大津波の謎は解明されました。


海底の地形や、海底に積もった堆積物を調べることによって、この事件は大地震ではなくて火山の噴火による山体崩壊によるものだということがわかったのです。



また、1792年に九州地方でさらに多くの被害を出した「雲仙岳の噴火」がありました。


この噴火でも同じく山体崩壊が起きたのです。


犠牲者は地元よりも火山から離れた有明海対岸の熊本県で主として出ました。


50キロメートル離れた渡島大島で大きな津波災害が起きたのと同じ構図です。



このときには前年末から地震が起きたあと、2月から噴火が続いていました。


そして5月に起きた強い地震と同時に眉山が大規模な山体崩壊を起こしました。


このとき崩壊した岩や火山灰が有明海に流れ込んで大津波が生まれました。


大津波は20キロメートル離れた熊本を襲って1万5000人もの死者を出す大被害を生みました。


「島原大変、肥後迷惑」と言われる、日本史上最大の被害者数を生んだ山体崩壊です。



北海道の渡島大島の噴火や、雲仙岳の噴火のように、海際や島にある火山の山体崩壊は、普通の火山災害にはとどまらず、大きな津波災害まで引き起こすことがあるのです。