南海トラフ地震警戒情報

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完全根拠に基づいた短期地震予測で、現在、日本列島のどこで地震発生リスクが高まっているのかを配信しています。

次はどこの領域で地震が起こるかを予測する研究『ブロック断層モデル』

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熊本地震で突きつけられた新たな課題


水害や津波の問題が少しずつではありますが、進展を見せつつある一方で、内陸の直下で起きた熊本地震では新たな課題が突きつけられました。


2016年4月14日の午後9時26分頃、熊本県益城町で震度7を観測したマグニチュード6.5の地震が発生しました。


そのわずか28時間後、同じく震度7、マグニチュードは7.3の大地震が再び襲いました。


家屋被害は19万棟余り、そのうち全壊が8400棟余りに達しました。


この地震では、避難生活での体調悪化などで死亡し「災害関連死」と認定された方を含めると、死者は199人でした。


熊本地震で見えた避難の問題は、まず避難者の多さでした。


総務省消防庁のまとめでは、避難所に最大で18万3800人もの人が身を寄せていました。


しかし、この数字に含まれていない人も多数避難していました。


それが「車中避難」、または「軒先避難」です。



展示会や会議を開くための大型施設「グランメッセ熊本」は、建物自体は地震で被害を受けて中に入れなくなっていたものの、2200台収容できる広大な駐車場に多くの車が停まっていました。


テントを張り、そこを生活の場としている人もいました。


なぜ避難場所に行かないのかと聞くと、みんな様々な事情がありました。


ペットや小さな子供などがいることを理由に挙げる人もいれば、「避難所が狭かった」という人もいました。



また、そこの駐車場を見てみると、午後は満車ではありませんでした。


しかし、桶やカゴが各駐車場に置かれてありました。いわゆる「場所取り」です。


夜になれば2200台収容できる駐車場は、いっぱいになるのです。



ここでいう避難は、一時的な避難行動というよりは長期的な安全を確保するシェルタリングに近い。


つまり、避難所の代わりなのです。
その背景には地震活動の特異性がありました。


4月14日、益城町で震度7を観測したマグニチュード6.5の地震が発生し、その2時間半後、震度6強を観測したマグニチュード6.4の地震も起きるなど、地震が活発な状態が続いていました。


そして、深夜、14日の初めの地震から丸1日が過ぎたころ、緊急地震速報が鳴りました。


マグニチュード7.3、初めの地震よりも20倍以上ものエネルギーで発生したのです。


さらにその地震の30秒後、大分県でマグニチュード6前後の地震が誘発されました。


続いて阿蘇地方でも地震活動は拡大。


震度1以上の揺れを観測する地震は1日に100回を超え、大分県側や日奈久断層帯の南側まで活動が進展しないか、地震活動に神経を尖らせる日々が続きました。



避難というのは「ハザードのある場所から離れる」ということです。


わかりやすく言えば、津波であれば浸水想定地域から避難することで、土砂災害であれば崖から離れることなどです。


しかし、都市直下の地震が続発すると、避難所や本来待機できる自宅であってもその安全性に不安が高まります。


益城町では、建てて間もない住宅まですっかり傾いてしまっていました。


倒壊の恐怖から自宅に入ることはできない、かといって犬もいるので避難所の生活も難しい、そういった人たちが車の避難を余儀なくされていたのです。



上手くいかなかった「広域避難」


熊本地震では地震における避難が一番の課題でした。


規模の大きな地震が続発することで、避難している場所とハザードの場所が同一になるのです。


避難している場所が揺れに見舞われている時点で安全ではないのです。


そこで提案されたのが「広域避難」でした。



当時は総合テレビのほとんどの時間を使って地震関連のニュースが伝えられていました。


その中で、熊本地震での広域避難の必要性を初めて取り上げると、瞬く間に広がりました。


ほかの自治体で受け入れを表明する動きも相次いで出て、事態は進展するかに見えました。


しかし、通勤や通学などの自宅近くを離れられない事情を持つ方が多かったのです。


また、何より自宅やふるさとが気になるという人も多くいました。


「短期間だけでも、気分転換のつもりで宿泊してみてはどうか?」という呼びかけもありました。


実際に親戚を頼って避難をしている方もいましたし、南阿蘇村などではやむをえず広域避難を行っている事例もありました。



ただ、エコノミークラス症候群などで、地震で救われた命が失われるという事例は今回もありました。


地震後の避難を考える時に、適切な広域避難がなされていれば防げた悲劇も数多くあったはずなのです。


日本では確実に今後も数多くの地震が発生します。


その時に、これらの経験は必ず今後の教訓にしなければならないのです。



情報発信の課題


連鎖する地震が特徴だった熊本地震では、情報をどう呼びかけるかという点でも課題を残しました。


一連の地震活動の始まりとなった、4月14日のマグニチュード6.5の地震が発生した直後から地震活動が相当活発でした。


この地震活動をみた学者たちの間では不安が広がっていました。


マグニチュード6.5の地震が、前震である可能性やその他の地震を誘発する可能性が考えられたからです。


実際に当日の調査では、断層帯の南北に強い力がかかっていることがわかっていました。



一部のメディアでは、、「大きな地震が誘発される可能性があるが、起きたとしてもそれが明日なのか、数年後なのかはわからない。そのため強く呼びかけることも難しい。でも、少なくとも壊れかけた住宅などには、しばらく戻らない方がいい。」と呼びかけていました。


しかし、被害情報が続々と入ってくる状況下で、このような地味なニュースにはなかなか焦点が当たりませんでした。


そして16日午前1時過ぎ、恐れていた大地震が起きたのです。



やはり呼びかけの声も届かず、自宅に戻ってしまっていた人はいました。


震度7を観測するような地震が2回あったから倒壊したのか、それともマグニチュード7.3の地震だけでも十分破壊力があったのかなど、このときの地震をめぐっては様々な議論があります。


ただ、確かなのは、もし最初の地震で避難を続けていれば、家屋の下敷きにならずにすんだ人たちもいたはずだということです。


地震に関しては「いつ・どこで・どのくらい」という正確な予測ができない以上、「避難し続けてください」と断言することは難しいのです。


しかし、例えばこの熊本地震の例で言えば、大地震の起こるリスクがある断層帯は事前に把握されていましたし、激しい揺れを伴うこともわかっていました。


断言はできなくても、そのリスクを呼びかけることは、必要だったのではないでしょうか。



熊本地震は決して予想外ではなかった


九州大学のS氏は、「熊本で地震があるとは思わなかった」という多くの声を聞いて愕然としたといいます。


S氏は火山の研究をしていて、九州地方の地震活動には特に詳しい。


熊本地震を引き起こした布田川断層帯、日奈久断層帯の地震活動も調べており、2005年に熊本県上天草市で震度5弱を観測する地震が起きた際には、「そろそろ対策をする必要がある」と指摘していました。



耐震補強をするのが一番だが、もしそれだけの余裕がなければ、2階に寝てください。


1階がつぶれても助かる可能性はある。


また寝室に家具があると頭や胸を打ってしまう。


簡単なL字金具で良いから、家具を固定することが重要です。


金具が外れてしまうかも知れないが、数秒は時間を稼げる。その間に必ず身を守ってください。



熊本地震を受けて、政府の地震調査研究推進本部は呼びかけに関する対応の改善を図りました。


まず「余震」という言葉をなるべく避けることにしました。


大きな地震のあとに起きる地震は必ず小さくなる、という誤解を与えかねないという理由です。


またその規模について、これまでは全国一律、最初の大地震より一回り小さい地震に注意を呼びかけてきましたが、それを改め、最初の大地震と同程度の地震に注意する、また周囲に活断層がある場合は、断層周辺の地震活動が活発化したかなどについても言及することとしました。



次はどこで地震が起こるのか?


熊本地震は都市を襲う内陸型地震の避難の課題を突きつけた形となりました。


しかし、特に西日本では今後、内陸地震への警戒が必要です。


南海トラフでの地震の直前や直後には、西日本で内陸地震が活発化するためです。



どこが今後活発化するのか、その領域を見つけようとする研究も進められています。


その一つとして「ブロック断層モデル」という興味深い説があります。


この研究が行われている京都大学のN氏は地殻変動の専門家で、GPS観測データをもとに地震のメカニズムや今後のリスクを解き明かそうとしています。


最近の研究によると、日本列島、特に西日本は大きな1枚のプレートの上に乗っている、と考えるとGPSのデータが説明できないという問題が出てきました。

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フィリピン海プレートが北西の方向へ沈み込んでいるのに対して、確かに四国地方は同じように北西へ動いているように見えます。


しかし、九州や中国地方を見ると向きがバラバラなのです。

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そこでN氏は「プレートにヒビのようなものが入っていて、それぞれのブロックが別々の動きをしている」と考えました。


これが「ブロック断層モデル」です。



一つ一つのブロックが押し合いへし合いすることで、特にブロックとブロックとの境界ではひずみがたまり、地震を引き起こしやすいというわけです。


実際、ブロックの境界は、繰り返し地震を引き起こす活断層と一致することが多い。


このブロック断層モデルを使うと、活断層の中でも特に地震に向かって切迫度を高めているところが見えてくるのです。


例えば、これまで活断層があまり見つかっていない山陰地方でも、地殻変動から見るとブロック境界が浮かび上がるため、大地震のリスクがあると指摘しています。



そして九州では、より複雑な状況であることも示しました。


特に、大分県から熊本県にかけては、GPSデータから見ると、この部分のひずみの蓄積する速さが非常に速かったのです。


大分県から熊本県にかけての一帯、特に熊本県の部分は本来活断層の存在が指摘されているところでした。


それが布田川断層帯と日奈久断層帯です。


国内でも地震が発生する確率が高い活断層とされていましたが、N氏の研究では、周囲よりもひずみを溜めている様子が改めて確認できました。


西日本では、フィリピン海プレートの沈み込みが進んでいきます。


そうすればひずみに耐えかねたほかのブロック境界などで地震が起こらないとは言えません。


N氏はメディアで次のように語っています。


GPSは、今まさにどうなっているのかがわかるというところに利点があります。


ブロックの境界が引かれているところは、ほかの地域に比べて、地震の起きるリスクが高い地域である。


そう思って備えて欲しい。


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