南海トラフ地震警戒情報

自ら四国沿岸部へ移住し南海トラフ地震の観測、研究をしています。南海トラフをはじめ、その他の巨大地震などを潮位、地殻変動、マグマ、火山活動や静穏化現象などの様々な異常を総合判断し、警告します。 ※人的被害を減らすのが目的で、予言などではありません。


衝撃の研究結果!日向灘での地震が南海トラフを誘発させる!?『慶長地震』は南海トラフ地震ではなかった!

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南海トラフでM6~M7クラスの地震は起きない?


「南海トラフ」という言葉は、すっかり定着していますが、「トラフ」とは実際に何を指しているのかを理解している人は少ないです。


トラフとは、谷のようになっている海底地形を指す言葉で、日本語では「海盆」と呼びます。


日本列島は大きな4つのプレートが交わっているところに位置しています。


南海トラフは海側のプレートであるフィリピン海プレートが、陸側のユーラシアプレートの下に沈み込み始めるところで、静岡県の駿河湾から九州の日向灘にかけて広がる広大な範囲を指しています。


このトラフ付近で起きる地震は、長年、東海地震や東南海地震や南海地震などと、発生領域ごとに区切って呼ばれてきましたが、現在は「南海トラフ地震」という固有名詞にまでなっています。


この南海トラフは科学者の間で「沈黙のトラフ」とも呼ばれています。


普段は静かだが、地震が起きる場合は巨大地震になる、という不気味さがこの表現には込められています。


実際、南海トラフ付近で海側のプレートと陸側のプレートの境目で起きる地震ではM6~7クラスという規模の地震はこれまでほとんど起きていません。


起きる場合はM8クラスの巨大地震になっているのです。



慶長地震は南海トラフで起きたものではなかった?


南海トラフ地震は、観測網が緻密にあるというだけではなく、過去の記録が比較的残っているため地震の中でもメカニズムなどがよくわかっている地震です。


しかし、研究が進むたびに思いのほか複雑だということがわかってきました。


最近起きたのは、1946年の昭和南海地震と、1944年の昭和東南海地震です。


その前は安政期、さらにその前は江戸時代の宝永期に遡り、もっとも古いものとしては7世紀、684年の白鳳地震の記録があります。



東海・南海・東南海というエリアでこれまで繰り返し巨大地震が起きてきました。


一見、明瞭な間隔があるように思えますが、じつはそこまで明瞭でない可能性が見えてきたのです。



国の研究プロジェクト、南海トラフ広域地震防災研究プロジェクトでは、過去の歴史の見直しも含めた研究が進められています。


多くの学者達は、これまでは「地震は同じ場所で繰り返し起きるものだ」と思い込んでいました。


しかし、その考えも東日本大震災をきっかけに大きく変わったのです。



東京大学地震研究所のH氏による学説は非常に興味深いものでした。


H氏が対象にしたのは、17世紀の慶長地震です。


これが南海トラフで起きたものではない可能性があるというのです。


この慶長地震は、高い津波の記録や痕跡が残っていますが、揺れの記録は西日本にはほとんどありませんでした。


そのため、地震動をあまり出さずに高い津波を引き起こす「津波地震」であると考えられていました。


それに対してH氏は、伊豆・小笠原海溝付近で巨大地震が起きたと仮定すると、過去の文献に記された津波の高さの説明がつくというのです。


さらにこの説に立つと、これまであまり重視してこなかった「関東で揺れた」という記録についても、説明がつくといいます。



小笠原海溝で起きる地震では、地震波は主に沈み込んでいる太平洋プレートの中を通って遠くまで伝わるため、関東や東北では揺れが大きくなる一方、西日本には大きな揺れが伝わりにくい。


実際に東北地方太平洋沖地震の前年に小笠原近海で地震が起きていましたが、ここでの揺れも関東付近にとどまっていました。


さらに11世紀や15世紀に記録されている地震についても、南海トラフではなく、別の場所で起きた地震の可能性もあるとして調べています。


つまり、これまでの対策の前提としていた地震がいくつも、疑わしくなっているのです。


H氏らは、南海トラフの地震の数が少なかったというより、まだ私たちが知らない「未発見の南海トラフの地震」が起きていた可能性もあると考えています。


つまり、地震の起こり方はもっと複雑であった可能性があるという、予測の困難さをあらためて感じさせる研究です。



日向灘の地震が南海トラフ地震を誘発させる


もう一つ興味深い研究結果があります。


海洋研究開発機構の堀高峰グループリーダーなどが、スーパーコンピューター「京」で仮想の南海トラフを作り出し、地震を繰り返し起こすというシミュレーションです。


プレートの構造を緻密に再現し、海側のプレートを沈み込ませます。


こうしてプレートの境界に歪みがたまると、どこかのタイミングで地震が起きます。


場所は四国付近の南海エリアだけかもしれないし、東側のエリアもいっしょにずれ動くかも知れません。


「京」を使って膨大な計算を何度も繰り返し、どのように起こるのか、そのシミュレーションを見てみるのです。



すると、そのシミュレーションの中で、不思議なことが起きました。


九州の南東、日向灘で地震が起きた場合、南海トラフの地震を早く引き起こす、つまり誘発するというケースがあったのです。


その結果、これまでは150年前後の間隔で起きていたと考えられる巨大地震が、わずか半分程度の周期でも起きてしまうこともあったのです。



これまで南海トラフでは、巨大地震は周期的に起きるとされてきました。


この想定は周囲の地震によって強制的に引き起こされてしまう地震を考慮していません。


というより、むしろこれまでそういった事態はまったく確認されていないのです。


それだけに、この研究結果は衝撃的であり、今後起こりうるシナリオとして考えておくべきものなのです。



東海地震を予知できる可能性


国の研究プロジェクトでもこの研究結果は重要視されています。


なぜなら、地震の予測・予知に大きく関わってくる問題だからです。


東海地震は唯一国が直前に地震を予知できる可能性があるとして注目している地震です。


東海地震では、地震を引き起こす直前、プレートが強くくっついている場所がはがれ始める動き「プレスリップ」が起こる可能性があるとして、国はわずかな地盤のひずみを調べる装置をきめ細かく設置きています。


しかし、これでさえ地震の直前の動きを正確に捉えられるかどうかはわかりません。


無事に動きをキャッチできたとしても、間に合うかどうかもわからない、いわば賭けのようなものです。



しかし、東海地震以外の西からの地震というのは、そもそもの海域に観測装置がないため何も捉えることさえできないし、陸地での何らかの変化を捉えた場合でも発表する仕組みができていません。


たとえ何かを捉えていたとしても、発表されなければ、住民は完全な不意打ちを受けることになるのです。