南海トラフ地震警戒情報

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南海トラフ巨大地震では適切な避難指示が出される可能性は低い?地震予測情報の必要性

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巨大化していく災害


私たちの生きる現代は、気象災害にしても地震や火山災害にしても、かなりリスクの高い時代だと言わざるを得ません。


災害におけるリスクとは、雨の激しさや台風の大きさ、地震の強さや噴火の規模などの外からくる力と、私たちが暮らす社会の構造とが関係し合って決まります。


例えば、東日本大震災では多数の避難者が出ましたが、そこには原発事故という現代ならではの問題が大きく関係していました。



一方、気象災害における避難指示や勧告の多さは、過去に呼びかけが遅れた反省から、自治体が従来よりも積極的に発表するようになった、ということの裏返しでもあります。


ただ、その要因となる現象そのものが近年激化しているという事実は大きいです。



例えば、気象災害を例にしてみます。


最近の数年間で雨の降り方が変わったと感じる人は多いのではないでしょうか?


この数年の間に、数年に一度と言われるような雨が降ったり、1時間に100ミリを超える猛烈な雨が降ったり。


また、昔では考えられないような台風の進路をたどったり。


過去のデータと照らし合わせても、現代の気象状況は異常なのです。


そしてそれは地震や火山活動などの地球内部にも言えることなのです。



「大気の状態が不安定」という言葉を聞くと、これまでは夕立や雷雨などを想像してきました。


ただの夕立であれば、30分から1時間程度で弱まるため、甚大な災害のおそれはそれほど高くはありません。


しかし最近は、雷雲がかかり続け、雨が激しさを増すということが頻繁に起きています。


雨が降り続けば、都市部では排水機能が麻痺して住宅が浸水し、山間部では崖崩れが起きます。



気象庁の解析によると、日本各地に設置されている雨量計での記録で、「非常に激しい雨」と表現される1時間に50ミリ以上の雨の年間の発生回数は年々増加しています。


豪雨災害後のメディアのインタビュー映像などで住民が「○○年この町に住んでいるけど、こんなことは初めてだ。」と話しているのを見たことはあるでしょう。


これまで経験がないような事態が起こるのが災害です。


短時間に降る雨の量が増えているという事実からも、そのような事態が他人事ではない状況になりつつあると言えます。



地震災害に関しても、東日本大震災は1000年に1度と言われるほど大きな地震と想定外の大津波、そして原発事故が発生しました。


地震が起こるたびに使われる「想定外だった」という言葉からも、気象災害だけでなく地震災害も年々大きくなっているということが言えます。


耐震の技術も進み、震度7の強烈な揺れでも昔ほどすぐに倒壊してしまう建物は少なくなりました。


しかし、それに対して地震そのものも年々巨大化、活発化してきているのです。



関東・東北豪雨の混乱


「避難」に対して、どのようなイメージを持っているでしょうか。


最近では、東日本大震災が引き起こした大津波や、東京電力福島第一原子力発電所の事故による避難、口永良部島の噴火による避難、西日本豪雨による避難などが記憶に新しいです。


ふだん都市に住んで日常を過ごしている限りにおいては、心のどこかで「自分には関係ない」と考えてしまっているのではないでしょうか?


また、関係ないとは思っていないまでも、切実な問題として現実味をもって受け止めている人はそれほど多くないのではないでしょうか?


しかし、実はそう悠長にも構えていられない事態がすでに身近に起きているのです。



それが2015年の関東・東北豪雨の時のことです。


関東・東北豪雨は、濁流が茨城県常総市内を流れる様子、そしてヘリコプターからの救出風景がリアルタイムで放送されました。


堤防が決壊する「破堤」のおそろしさと、避難の必要性が強く印象づけられることになったのですが、


避難をめぐっても混乱が起きていました。



当時、鬼怒川の東側の住民に向かって、「西側への避難」が伝えられたといいます。


その地域に住む住民に、防災行政無線はこう呼びかけました。


「鬼怒川が三坂地区において、決壊しました。鬼怒川東側の市民の方は、早急に鬼怒川西側に避難をしてください。」


これを聞いて住民たちは耳を疑いました。


なぜなら、水があふれている川のほうに向かって避難をするなど通常ありえないからです。



結局、川にかかる橋は渋滞し、避難の呼びかけが遅れたこともあって、多くの住民が市内に取り残されることになりました。


その後、救助された住民は4200人余りで、ヘリコプターでは1339人もの人が救出されました。


もしヘリコプターが出動できないような天候だったら、どうなっていたでしょうか。



なぜ耳を疑うような避難指示が出たのか?


この水害が発生した要因は、非常に特殊でした。


さまざまな気象条件が重なり合って大雨が降り続く要因となりましたが、この災害は決して「想定外」のものだったとは思えません。


市があらかじめ公表していたハザードマップには鬼怒川が決壊した場合の浸水範囲が記されてありました。


また、実際の被害もその範囲を大きく超えるものではありませんでした。



問題は、堤防が決壊した時点で決壊地点を含む浸水範囲の大部分に避難勧告や指示が発表されていなかったことです。


避難情報の遅れに加えて、水が溢れる鬼怒川に向かって橋を渡れという信じがたい避難の指示はなぜ出されたのでしょうか?



まず、川の東側の住民を橋を渡った西側へ避難させようとした最大の要因は、避難行動を市内で完結させようとしたからでした。


東側に向かった場合、市内には避難場所がないため、隣の自治体の避難場所に避難することになります。


自分が暮らす市区町村以外に避難をする「広域避難」の発想が欠けていたのです。


そのため、当然、避難住民の受け入れ要請などの準備もできていませんでした。


さらに市の災害対策本部ではハザードマップをしっかり使わずに避難勧告の対象地域を検討していたというのです。


つまり、地図も開かず、町名だけを頼りに検討していたということです。


しかも、常総市では、1986年に鬼怒川ではなく市の東側にある小貝川のほうで氾濫が起きていました。


そのため、どうしても小貝川の状況に目が奪われ、鬼怒川への対策が手薄になってしまっていました。



災害対応に慣れない組織が混乱に陥った際、冷静に考えればありえないことが起こっても不思議ではないのです。


ましてや突然「南海トラフ巨大地震」が起きて冷静になれる人なんているでしょうか?


南海トラフ巨大地震の発生周期は約100年~150年と言われています。


人間の平均寿命などを考えても、南海トラフ巨大地震を二回経験する人は極端に少ないでしょう。


つまり、ほぼ皆が初めて経験する災害です。


避難を呼びかける人たちだって冷静になれるはずもありません。


自分たちも避難しなければいけませんし、混乱もします。


そんな中で適切な避難指示が出される可能性は低いのではないでしょうか?


災害が起これば、避難指示に従えばいいという他人任せな考えではなく、事前にどのような被害が想定されているのかを調べ、自分で安全な避難場所や経路を調べておくことが必要なのです。



地震による被害を減らすために特に重要なこと


気象災害は、実際に災害が発生するまでに多少なりとも時間があります。


これを「リードタイム」と呼びます。
例えば台風の場合は、発生してから日本列島に上陸するまでに進路や強さをある程度予測できます。


豪雨による土砂災害の場合でも、雨が降り始めてから数時間から数日のうちに「大雨警報」や「洪水警報」、「土砂災害警戒情報」といった気象情報が発表されます。



一方、地震や津波などの災害は、基本的に前触れなく突然発生するため、リードタイムがほとんどありません。


このリードタイムがあるかないかというのは、避難を考える上で非常に重要なのです。


しかし、リードタイムのある気象災害でも、避難の呼びかけが間に合わないという問題はよく指摘されてきました。



重要なのは、空振りをおそれずに避難の呼びかけをするということではないでしょうか。


リードタイムのない地震災害においても、少しでも根拠があるならばその予測情報を頼りに警戒態勢をとっておくということが重要で、情報を発信する側も空振りをおそれず注意の呼びかけをするということがポイントだと思います。


今ではこのような教訓を活かして、基準に達したら速やかにかつ広範に避難勧告・指示を出すようになっています。


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