南海トラフ地震警戒情報

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西南日本の内陸、千島海溝沿い、東北のアウターライズ地震に注意!

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内陸地震に活動周期はない?


南海トラフ巨大地震には、ある程度の周期があると考えられています。


一方、内陸地震にも同じように活動周期があると言われています。


しかし、地震を起こすメカニズムはまったく違います。



内陸の地震は、プレート境界型巨大地震の固着域の変化に影響を受けるため、本質的には不規則なものとなります。


2011年の東北地方太平洋沖地震のちょうど一ヶ月後に福島県浜通り地震(7.0)が発生し、地表に地震断層が現れました。


この周辺の地震活動は3.11以降に活発化していて、それがピークに達した一ヶ月後にこの地震が発生しました。



その後の発掘調査で、前回の活動は数万年前であったことがわかりました。


しかし、数万年間、引っ張りの力が作用し続けて初めてこのときに破壊に至ったというわけではありません。


この地震はプレート境界での固着の変化によって、あるいは近くの大規模な内陸地震によって生じる応力変化に支配されています。


非常に長期間で見れば規則的に見えたとしても、本質的には、ばらつきが大きい現象なのです。



また、内陸地震はプレート境界での動きの影響を受けるため、活動期と静穏期の影響を受けています。


ただし、現状ではこれらの定量化が困難なために、個々の活断層の「再来周期」を前提とした評価となっています。



今後、プレート境界の地震と内陸地震を一つのシステムで取り扱った定量的なモデルの構築が重要な課題となります。


このためには海域を含めて詳細に地殻変動を観測し、プレート境界の形状や内陸地震の震源断層の形状などを含む地殻やプレート構造、さらには過去の地震についての情報を高い精度で上げていくことが重要です。



海底の変動が観測できるようになった


プレート境界の固着域の状態は、地殻変動から推定できすが、プレート境界は海の中にあるため、固着域の分布や変化などを推定するためには、海底で観測をできるに越したことはありません。


なんとか海底で観測ができないか、という技術の開発が長い間続けられた結果、GPSを用いた「GPS/音響測距結合方式」という方式が開発されました。



GPSは、衛星からの電波や光を受信することで現在位置を測定するものですが、海底には電波も光も届きません。


そこで海底に「音響トランスポンダ」と呼ばれる観測機を置き、測量船から海底の観測機に音波を飛ばし、その往復時間を測ることで距離を測定します。



海上保安庁では、海溝型巨大地震の原因となるプレート境界の固着状況を把握するため、2000年度からおもに日本海溝と南海トラフ沿いで、海底の陸側プレートの動きを観測してきました。


プレートが沈み込む場所で、プレート間に抵抗がなければ、陸側プレートに地殻変動は起こりません。


陸側プレートと海洋プレートが強く固着していると、陸側プレートは海洋プレートの運動方向と同様の動きを示します。


固着していることで、プレート境界で本来すべっている値に比べ欠損していることになるため「すべり欠損」と呼び、


観測量は移動速度(cm/年)で表すことが多く、この量が大きいほど固着が強いと考えることができます。


こうした陸上および海底での地殻変動の観測によって、プレート境界での固着域の実態がより明瞭になったのです。



東北地方ではアウターライズ地震に注意!


東北地方太平洋沖地震の発生によって、東北地方では内陸地震のリスクがかなり低くなったと考えられています。


東北地方の内陸では、太平洋プレートが大陸プレートと押し合う力にひずみがたまっており、逆断層型の地震のリスクが高まっていました。


しかし東北地方太平洋沖地震が発生したことで、大陸プレートの端が伸び、その影響で東北地方の内陸には引っ張る力が働くようになりました。


その結果、押し合う力によってたまっていた歪みは解消されたと考えられているのです。



また、日本海溝付近では、「アウターライズ地震」のおそれもあります。


アウターライズ地震とは、大陸プレートの下に海洋プレートが入り込んでいる海溝の外側の海洋プレート内を震源として起きる地震のことです。


ここは、海洋プレートの動きが大陸プレートとの境界面でブレーキがかけられて盛り上がった地形をしているために、アウターライズ(海溝外縁隆起帯)と呼ばれています。


巨大地震の余震として、ここを震源とする地震が発生する可能性が指摘されているのです。



今後、千島海溝での超巨大地震に注意!


東北地方では、東北地方太平洋沖地震によって、アウターライズの部分をのぞいて、大半のひずみが解消されました。


しかし、これに対して、千島弧の状況は変化していません。


むしろ、超巨大地震に隣接していることもあり、今後、特に注意しなければいけない地域です。



太平洋プレートが北海道付近の大陸プレートの下に入り込んでいる千島海溝付近でも、プレート境界型地震が規則的に発生しています。


震源域は十勝沖、根室沖、色丹島沖および択捉島沖に区分され、それぞれでマグニチュード8クラスの大地震が発生しています。


発生時期が判明している地震は2~3回しかなく、それぞれの領域での過去の地震の発生間隔を求めると、地震調査研究推進本部によると、


十勝沖が約51年~108年、根室沖は約79年、択捉島沖は約76年、色丹島沖は約45年となります。


そして、このデータからプレート全体としての平均発生間隔を算出すると約72年となります。



十勝沖では2003年に一度活動しているため、しばらくは大地震が発生する確率は低いと考えられますが、


残りの3つの区間では、いずれも数十年が経過しており、発生する確率は高く評価されています。


また、東北地方太平洋沖地震の場合のように、海溝型の巨大地震に先立つ内陸地震の発生も懸念されます。


これまでにも北海道胆振東部地震なども発生しており、プレートによる歪みがたまっていることは明らかなのです。



地殻変動の状況が変化しても予測は変化しない?


現在の活断層の長期評価は、活動履歴から平均的な活動間隔を求め、その経過率から評価するといういわば「静的」なものです。


たとえば、東北地方太平洋沖地震という超巨大地震が発生して、これまで短縮していた地殻変動の状態が大きく変化しても、活断層の活動についての予測は一切変化していないのです。



海溝型の巨大地震と内陸地震は密接な関係を有しており、これらの因果関係について、より詳細に解明していく必要があります。


陸上ではトレンチ調査が行われていますが、海溝軸部では、直接、海底断層の活動履歴を調査するような調査は未だに実施されていません。


そんな中での、地球深部探査船「ちきゅう」による南海トラフ震源断層の掘削調査にはかなりの期待を抱いていました。



また、現状ではまだ、どの地域での内陸地震が最も起こりやすいかを定量的に論じることができていません。


しかし、確実に言えることは、西南日本では、大規模な内陸地震の発生リスクが高まっているということです。


自分の住んでいる地域の周辺に活断層があるという事実だけで、十分に注意しなければいけないのです。


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