南海トラフ地震警戒情報

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国内最大規模の内陸地震が残した地震断層が直接観察できる施設「根尾谷地震断層観察館」

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断層のずれ方は3種類


断層にどのような力がかかっているかは、地震のメカニズムを理解するために重要となります。


その基本となるのが、断層ができた時の力のかかり方によって分けられる3つのパターンです。


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一つ目は、水平に引っ張られて縦に動く場合で「正断層」と呼ばれる断層ができます。


この断層は傾斜が60度程度のものになります。


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二つ目は、水平に押す力で縦に動く場合です。


この場合にできる断層は「逆断層」と呼ばれ、断層の傾斜は30度程度になります。


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三つ目、水平に押す力で横に動く場合で、「横ずれ断層」となります。


この場合、断層の傾斜は垂直で、断層をまたいで右手側が後ろに動くようなずれを、「右横ずれ」、左手側が後ろに動く場合は、「左横ずれ」といいます。



日本はプレートの沈み込みによって、押されている所が多いため、「逆断層」や「横ずれ断層」が一般的です。


「正断層」と「逆断層」という言葉からは、あたかも正断層の方が正統な断層で、逆断層はイレギュラーなものであるかのような印象を受けます。



イギリスの古くからの炭鉱であるウェールズでは、引っ張りによってできる断層が多くありました。


そこで、こうした断層を「ノーマル・フォールト」、その逆に押し合う力にある断層を「リバース・フォールト」と呼ぶようになりました。


それが日本語に訳されて「正断層」「逆断層」となったのです。



日本で起こる地震のタイプ


こうしたプレートの動きが、どのように地震を引き起こすのでしょうか。


メカニズムによって大きくプレート境界型地震と、プレート内部で起きる内陸地震に分けられます。



海洋プレートは少しずつ陸のプレートの下に沈み込んでおり、その境界部分には、海洋プレートの動きに引きずられて大きなひずみが生まれています。


そして、限界を超えて耐えきれなくなると、2つの境界面の断層がずれ動き、陸のプレートが元に戻ろうとする力が解放されて、勢いよく跳ね上がるように動きます。


こうして発生するのがプレート境界型地震で「海溝型地震」と呼ばれています。


海溝型地震はマグニチュード8クラスなどの巨大規模なものが多いです。



断層面は、通常なめらかで滑りやすいです。


しかし均一な摩擦抵抗を持っているわけではなく、断層面の中でもザラザラした動きにくい領域があります。


それを「固着域」といいます。


固着域が断層の動きを支えているため、こうした固着域がずれ動いてしまうと、大きな地震が発生します。


また、地震の際に大きくずれ動いて強い震動を起こす領域を「アスペリティ」といい、固着域と一致することが多いです。



プレート境界型地震では、GPSを用いた地殻変動観測で固着域を予測することができるようになりつつあります。


また、プレート境界面での固着が、陸のプレートの地殻変動や応力状態に影響を与えて、内陸地震の発生にも大きな影響を及ぼしています。


剥がれるのは一つの固着域とは限らない


プレート境界型の巨大地震では、一つの固着域が剥がれたからといって滑り終わるとは限りません。


東北地方太平洋沖地震では、広範囲にわたっていくつものアスペリティが崩れたことでM9の超巨大地震になりました。



海洋プレートの中でも、海溝から大陸プレートへ沈み込んだ部分である「スラブ」に震源がある地震を「スラブ内地震」といいます。


通常、潜り込んだプレート内で起きる地震は、発生する場所が深いため、我々が住む地表では大きな被害につながりません。


しかし、沈み込み角度が浅い場所では大きな被害につながる可能性があります。



1855年に発生した安政地震は、沈み込むフィリピン海プレートの中で発生した可能性が高いと考えられています。


この地震は、マグニチュード7くらいの直下型地震となり、江戸の市中に甚大な被害を与えました。


死者は数千人程度と推定されています。



また、1905年、2001年に広島周辺で発生した芸予地震もこのタイプの地震です。


震源は50~60キロメートルと深いものの、1905年の地震ではマグニチュード7.2、最大震度は6と推定されています。


江戸時代にも、愛媛県を含めしばしば被害地震が発生しています。


スラブ内地震の例として、大規模なものだと1993年の釧路沖地震(M7.5)、1994年に起きた北海道東方沖地震(M8.2)などがあります。


このような地震は、震源が深く、断層を特定できないため長期予測が難しいです。



アウターライズ地震とは?


海洋プレートで起こる地震には、「アウターライズ地震」というタイプの地震もあります。


アウターライズとは、「外側にある隆起」という意味で、海溝の外側の海洋プレート内を震源として起こる地震のことです。



海溝で海洋プレートが沈み込むときに、海洋プレートが曲がる必要があり、沈み込む際の抵抗力とプレートを動かす力によって、盛り上がった地形になっています。


ここでは複雑な力が作用していて、震源が浅い場合は正断層型、深い場合は逆断層型となります。



このタイプは、大規模なプレート境界型地震の余震として大規模な地震を起こす可能性が高いです。


1896年の明治三陸地震(M8.2)の37年後に発生した、1933年の昭和三陸地震(M8.1)、


マグニチュード9.1の2004年のスマトラ島沖地震の8年後に発生した2012年のスマトラ島沖地震(M8.6)などの例があります。



地震の発生する場所は陸から隔たっているため、揺れによる被害は発生しにくいてすが大きな津波災害を引き起こします。


また、2011年の東北地方太平洋沖地震によりプレートにかかる圧力が変化したことから、


その震源域の周辺では今後、地震が起こりやすくなっていることが指摘されています。


その一つが東北地方沖のアウターライズ地震なのです。



国内最大の内陸地震「濃尾地震」


内陸地震とは、文字通り内陸部で起きる地震です。


プレート境界から広域的にかかる力の影響で陸のプレートにひずみがたまり、それが限界を迎え、岩盤がずれ動くことにより発生します。



1891年10月28日、現在の岐阜県本巣市付近を震源とする「濃尾地震」と呼ばれる大地震が発生しました。


内陸地震としては国内で最大規模の地震で、マグニチュード8.0、最大震度は7を記録しました。


この地震の大きな特徴は、地表に明瞭な全長約80キロメートルに及ぶ地震断層が出現したことでした。


とりわけ顕著な痕跡を示したのが根尾谷断層です。


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岐阜と福井の県境から根尾村、水鳥を経て本巣町金原、川内に至る長さ約40キロメートルの区間の横ずれ断層で、畑や道を容赦なく分断する横ずれは最大8メートルにも達しました。


特異な地変が現れたのが水鳥付近で、北西ー南東方向の横ずれ断層に斜交する北北西から南南東方向に伸びる断層の東側が約6メートルも隆起して「水鳥断層崖」と呼ばれる直線的な崖を形成しました。



水鳥断層崖は国の特別天然記念物にも指定され、現在では地下観察館が整備され、実際の断層が観察できるようになっています。
観察館外観
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観察館内
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観察館内
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実際の断層
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地震によってこのように大地が姿を変える例は、これまでにも確認されてはいましたが、それは、家屋の倒壊や山崩れなどと同じく、揺れによる被害の一つとみなされていました。


しかし、濃尾地震で発生した、根尾谷断層をはじめとする明瞭な地表地震断層の姿は、地震研究の格好の研究材料となりました。


そしてこれをきっかけに、断層こそが地震の正体であるという理解が確立したのです。


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