南海トラフ地震警戒情報

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南海トラフ地震などのプレート境界型の巨大地震は突然発生しない

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日本でも起きている連鎖型地震の例


前震、本震、余震を厳密に見分けるのは難しいですが、多くの地震は、突然大きな揺れが発生し、その後は規模の小さな地震が続きます。


つまり、日本列島で起きるほとんどの地震は
「本震ー余震型」になります。



ただし、まったく違ったパターンで発生する地震も中にはあります。


例えば、2003年に起きた宮城県北部地震では、M5.6の地震が発生し、7時間後にM6.4が発生しました。


さらにその10時間後にはM5.5の地震が発生し、震源地では一日のうちに震度6以上の揺れを3回経験することとなりました。


一連の地震は前震、本震、最大余震と理解できますが、強い揺れを伴った前震の存在が特徴的でした。



地震が連鎖した有名な例としては、1992年にアメリカ・カリフォルニア州のサンアンドレアス断層周辺で発生した地震があります。


この地域は、プレート境界であるサンアンドレアス断層の北東側にあたり、横ずれ型の活断層が分布しています。


その中の南に位置する断層で、M6.3の地震が起きました。


その約2ヶ月後に、北方に隣接するランダーズでM7.6の大地震が起き、ずれの量が5メートルに及ぶ地表地震断層が現れました。


さらにその3時間後に、ビッグ・ベアーという場所で地震が発生しました。



これらの3つの地震は、1つの地震の発生によって周囲の岩盤内部の力が変化したために、次々と断層がずれ動いたと推定されています。


このような断層運動に伴う岩盤内部の力の変化は、弾性体を仮定することで計算できます。


このときの次々と連鎖した地震は、まさに計算されたとおりに断層が動いて発生したものでした。



また、7年後にランダーズ断層の北東でM7.4の地震が発生しています。


これは、粘弾性と呼ばれる岩石の高温での流動的な特性によって、岩盤内の力のかかり方が変化したことによって生じたことが解析されています。



離れた断層帯にも連鎖する


地震には、さまざまな連鎖のパターンがあります。


熊本地震で例えてみます。


4月16日、布田川断層帯を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生しました。


しかし、その一方で熊本地震は別の形の連鎖も示していたのです。



16日午前7時11分頃に、大分県中部を震源とするマグニチュード5.4の地震が発生しました。
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布田川断層帯や日奈久断層帯からは東北方向に離れており、それ以前に起こった2つの地震の余震ではなく、誘発された地震であると考えられます。



この大分県中部の地震の震源は「別府ー万年山断層帯」でした。


別府ー万年山断層帯は、布田川断層帯の北東方向に位置し、ほぼ東西方向に伸びる断層帯です。


決して布田川断層帯や日奈久断層帯と接しているわけではありません。


それにも関わらず、熊本での2つの地震との連動が疑われる地震が発生したのです。



プレート境界での巨大地震は突然発生することはない


日本列島は複数のプレートの境界に位置しています。


プレートが別のプレートに沈み込む「沈み込み帯」の上にあるため、プレート沈み込み運動による力が大きく作用しています。



2011年の東北地方太平洋沖地震は、M9.0という想像を超えたプレート境界型巨大地震で、大規模な地殻変動を引き起こしました。


東北地方太平洋沖地震による地殻変動は、朝鮮半島やロシア極東部でも観測されています。


プレートの沈み込みがいかに広範な地域に影響を与えているのかを改めて示した地震でした。



東北地方太平洋沖地震が起きる前、GPSによる地殻変動の観測で、宮城県や山形県が東西方向へ縮んでいることが数値で示されていました。


東北地方はおおむね東西方向に短縮して変形する力を受けています。


しかし、地質構造で見る限り、宮城と山形が縮んでいるという現象は今までになく、なぜこうした数値が出たのか、当時は理解ができませんでした。



そしてもう一つ、東北地方太平洋沖地震の前に立て続けに大きな内陸地震が起きていました。


当時のような、地震活動が平穏な時期だとマグニチュード7程度の内陸地震は平均的に10年に1度程度の間隔で起こります。


しかし、東北地方や北陸地方では、
2003年に宮城県北部地震(M6.4)
2004年に新潟県中越地震(M6.8)
2007年に新潟県中越沖地震(M6.8)
2008年に岩手・宮城内陸地震(M7.2)

と立て続けに起きていました。


そして、その原因が東北地方太平洋沖地震の発生によって判明しました。


震源となったプレート境界部分の「固着域」のために、過去100年にわたって東北地方のこの領域が大きな圧縮の力を受け続けていたのです。



このように、日本列島のようなプレート沈み込み帯では、地震活動や地殻変動は基本的にプレート境界からの力のかかり方に支配されているのです。


そのため、大規模な内陸地震が発生した場合は、プレート沈み込み境界との関係について調査していく必要なあるのです。



もう一つ、考え方を変えれば
プレート境界での巨大地震は、前触れもなく突然発生することは基本的にあり得ない。
とも言えるのです。


東北地方太平洋沖地震や、かつての南海トラフ沿いの地震を見ても、先行する内陸地震を伴って、長い目で見れば一連の被害地震群が発生しているのです。


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