南海トラフ地震警戒情報

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内陸地震で初めて緊急地震速報が間に合った例とは?

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海溝型地震と直下型地震の違い


2011年の東北地方太平洋沖地震の直後は、多数の余震や誘発地震が発生しました。


その中にはM6やM7クラスの地震もありました。



しかし、東北地方太平洋沖地震のような海溝型地震と、熊本地震のような内陸地震は同じ地震でもタイプが異なります。


被災域の広がりや揺れの継続時間はマグニチュードに比例しますが、揺れの強さは震源からの距離に関係します。


東北地方太平洋沖地震では、岩手県から千葉県までのきわめて広い地域が震度6以上の揺れに襲われましたが、震度7は宮城県栗原市の一部だけでした。



震源距離が大きくなると地震はも減衰するので、海溝型地震では市街地で極端に大きな揺れに見舞われることは少ないのです。


一方で、活断層による内陸地震は、直下から地震波が弱まることなく地表に到達するため、震度7の地域が活断層周辺に生じることになります。



さらに、地震波の距離減衰は、波の種類によって異なります。


地震波は、音楽と同様に、周期の異なる多様な波の重ね合わせです。


マグニチュードが大きいほど広い帯域の波を放出し、小さいと短周期成分に偏ります。



一般に平屋や二階建ての住宅は、キラーパルスと呼ばれる周期1秒前後の波が卓越する地震波によって破壊される傾向があります。


本来、戸建て住宅の固有周期(地震などによって片側に揺れて戻るまでの時間)は0.2秒前後です。


そのようなごく短周期で共振現象が生じやすいはずなのですが、大地震の最初の一撃で建物がダメージを受けると固有周期が1秒まで延び、それが後続の揺れによる大破壊につながるのです。



このような比較的短周期の波は、震源距離が長いと、長周期に比べて著しく減衰するといわれています。


つまり、海溝型地震による地震波は内陸に到達する頃には短周期成分が衰えていることが多いのです。


逆に長周期の波は、柔らかく厚い堆積層で増幅され、高層ビルの固有周期と同期します。


内陸地震の場合は、短周期成分も衰えずにそのまま地表に到達し、震源直上に被害をもたらします。



また、内陸地震の場合、突然の揺れに備える時間がまったくありません。


東北地方太平洋沖地震とその余震では、緊急地震速報が頻繁に流れました。


緊急地震速報は、全国約1000ヶ所に設置された地震計網を利用してP波を感知し、その後に遅れて襲ってくるS波を予測し警報を発するものです。


東北地方太平洋沖地震では、震度予測は外れましたが、速報から主要動の到達まで仙台で15秒、東京では1分も備える時間がありました。



しかし、内陸地震の場合、震源が近すぎるためP波とS波がほぼ同時に感知されます。


地震計が地震波を感知すると同時に地表では主要動による強い揺れが発生しています。


それから速報が発せられるため、実際に人々に速報が流れるタイミングは揺れが始まった後になるのです。


机の下に隠れる、建物から飛び出るなどのアクションを起こす時間もありません。



そのため、内陸地震における対策は、不意の揺れから命を守ることで、最も重要で効果的なのは建物の耐震補強と家具の固定だと言えます。



内陸地震で緊急地震速報が間に合った例


熊本地震では、当初熊本・大分地震といわれるほど、大分県側でも大きな揺れを観測しました。


本震での由布市と別府市の震度は6弱で、いくら地盤が軟弱とはいえ、震源から70キロメートルも離れた場所でこれだけ揺れるのは異常でした。



後にわかったのが、実はこの揺れは熊本地震ではなく、熊本地震に誘発された由布岳直下のM5.7の地震によるものでした。


熊本地震自体の計測震度は4.4でしたが、直後に震度6の別の揺れを記録していたのです。


本震直後はこのような詳細な区別は不可能なので、熊本地震で大分側でも震度6を表示する事になったのです。



さらに、この大分の地震では、内陸地震によって震度6以上の揺れに見舞われた地域として、緊急地震速報が初めて間に合った例になりました。


通常、内陸地震の場合、震度6以上の地域では、揺れの後に緊急地震速報が届きます。


由布市や別府市では15秒程度の時間があったようですが、熊本地震の計測震度は4でした。


あくまで偶然ですが、結果的に現地では結果的に誘発地震の強い揺れに身構える時間ができたのです。


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