南海トラフ地震警戒情報

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地震による被害は「揺れ」だけじゃない!断層のずれによる被害とは?

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活断層を事前に避ける


活断層が動いたことによる災害の大半は地震の揺れによるものですが、被害全体のうちのごくわずかですが断層のずれによる影響も無視できません。


被害は活断層上の狭い範囲に限られますが、地震断層をともなう内陸地震で毎回報告されています。



例えば、1999年9月21日に台湾中部で発生した集集地震(M7,6)では、南北に約95キロメートルにわたって地震断層が出現し、最大11メートルの上下変位が観察されました。


被害は甚大で2415名の命が失われ、5万棟以上の建物が倒壊しました。


これらのほとんどが地震動によるものですが、地震断層沿いでも多くの建物が損壊し、ライフラインにも甚大な被害がでました。


とくに、地震断層の北端に位置する石岡ダムは断層のズレの直撃を受け、ダム本体の右岸側に7.5メートルの段差が生じ、決壊に至りました。


幸いにもダム堤体全体の破壊は起こらず、大きな被害には至りませんでした。



たとえ地震動が増幅しない堅硬な岩盤に建物を建てても、真下で大きな変位が発生すれば、倒壊に至る場合もあります。


将来、どんなに揺れに強い建物ができたとしても、断層変位に逆らうのは容易ではありません。



そのような断層変位から逃れる方法は、当たり前のことなのですが「活断層の真上を避ける」ことです。


活断層の分布は、様々な出版物やネットでも公開されています。


活断層分布図は、基本的に空中写真を用いた断層変位地形の判読や現地調査に基づいて推定・作図されています。


なかにはトレンチ調査や露頭などで、位置や動きが確実に押さえられている活断層もありますが、推定活断層が圧倒的に多いのが事実です。



活断層を避ける法律がある?


活断層の変位ハザードを避けるよう法規制化している地域もあります。


米国カリフォルニアでは、サンアンドレアス断層という大断層が1000キロメートル以上にわたって縦断しています。


サンアンドレアス断層は、場所ごとに動きが異なり、常時ゆっくりと動いている区間もあれば、20年程度の間隔でM6の地震を起こす区間、200~300年間隔でM8の地震を起こす区間などがあります。


数千~数万年間隔で動く日本の活断層の10倍~100倍以上の頻度で動くのです。



その危険度から、カリフォルニア州では「活断層法」と呼ばれる州条例が、1972年に制定されました。


この条例では、活断層から片側約15メートルに新しく建物を建てることを禁止するとともに、活断層から片側約150メートルの範囲の地質調査を実施して活断層がないことを確認しなければなりません。



また、ニュージーランドでも2004年に政府が活断層指針を打ち出しました。


この指針は自治体の都市計画や防災担当者らを支援し、断層変位による被害の回避・軽減をめざすものです。


カリフォルニア州のように厳しいものではなく、より協議・調整的な資源同意という制度を通じて、活断層の特性や建物の用途や構造、現場の市街化の動向に柔軟に対応するというものです。



日本では、徳島県が2013年に、中央構造線活断層帯沿いに「特定活断層調査区域」を設定する条例を制定しました。


これは、同地域内で学校や病院、火薬・石油類など危険物を貯蔵する施設の新築を行う場合に、事業者は活断層調査を実施し、直上を避けて建築しなければならないとする区域です。


中央構造線活断層帯沿いの幅40メートルにわたって指定されており、5000分の1で詳細図が示されています。


その中には、条例対象区域以外にも、活断層の調査を推奨する区域が同時に指定されています。



新幹線の活断層対策とは?


家屋やビルなどの一般構造物は、あらかじめ断層位置が判明していれば避けることは可能です。


しかし、道路や鉄道など、長距離で連続する線状構造物が断層を避けることはほぼ不可能です。



総延長距離約3400キロメートルの新幹線は、多数の活断層を横切ります。


新幹線と活断層が交わる地点が約60ヶ所以上もあり、そのうちの一部では対策がとられているところがあります。


例えば、山陽新幹線の新神戸駅の断層変位対策が有名です。


1970年の新神戸駅建設現場で六甲ー淡路島断層帯の諏訪山断層の断層面が現れました。


六甲山を構成する花崗岩と、生田川の河床礫が接している活断層でした。


この対策として、断層を挟んで山側と海側で動きが違っても破壊されないように、それぞれ別々の基礎と橋脚で支えるように設計変更されました。



また、富士川河口断層帯の入山瀬断層が横切る東海道新幹線富士川橋梁でも、断層変位による落橋防止のために橋脚の桁座を拡張しています。



このような線状構造物への対策が実際に役に立った例もあります。


米国アラスカ州南部では、1000キロメートル以上の長さのデナリ断層という活断層に、原油パイプラインが横切っています。


このパイプラインは、北極海沿岸の油田からアラスカ湾内の基地へと原油を送るもので、パイプの直径が1.2メートルの地上高架式です。



1977年に完成したものですが、この建設前の調査の際に、米国地質調査所や地質コンサルタントによってデナリ断層の危険性が指摘されました。


しかし、パイプラインも線状構造物なので断層を避けることができません。


そこで、デナリ断層を詳しく調査した結果、地震が起これば水平方向に6メートル、上下方向に1.5メートル程度の変位が生じる可能性があることがわかりました。


その対策として、パイプの下に可動式のレールを置き、地面が動いた際にパイプがスライドしてずれが直接伝わらないようにするとともに、断層帯部分ではパイプの長さに余裕を持たせ、柔軟に曲がるように設計しました。



そして、完成から25年後の2002年にデナリ断層でM7.9の大地震が発生し、デナリ断層の約300キロメートル区間が平均5メートルの右横ずれを起こしました。


パイプラインの地点では約4メートルのずれが生じましたが、この対策のおかげで無傷で済んだのです。


パイプラインの破壊による経済損失と環境破壊は計り知れません。
米国地質調査所によると、1970年代に行ったわずか300万ドルの投資によって、今日の1億ドル以上の損失を防ぐことができたと綴っています。



原子力発電所の活断層対策


最も安全性が担保されなければならないのが、原子力発電所です。


発電所立地の際には、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」に基づいて、敷地内と周辺半径30キロメートル内の活断層が徹底的に調査されます。


その後、これらの活断層や歴史地震に基づいて「基準地震動」という最大の揺れが策定され、これに耐えうる設計を施さなければ立地が許可されません。



断層変位に関しては、「重要な安全機能を有する施設は、将来活動する可能性のある断層等の露頭がないことを確認した地盤に設置すること」と明記されています。



しかし、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所災害を受けて、再稼働へ向けての審査がより厳しくなったため、既設の発電所は今になって再度審査をされています。


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