南海トラフ地震警戒情報

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地震ハザードマップはどのようにして揺れの確率を予測しているのか?


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「ハザード」とは?


最近では、地震、津波、噴火、台風などの影響範囲や程度を地図化した「ハザードマップ」が地域ごとに作成され、身近になってきました。


ハザードを危険やリスクなどと同じ意味合いで捉えている方が多いですが、本来、ハザードとリスクの意味は異なります。



ハザードとは、危険の原因となるもののことで、地震の場合、断層運動による地震そのものを指します。


一方、リスクとはそのハザードによって何らかの損害を生じる可能性を指します。


地震という危険要因があっても、そこに人や建物がなければ損害は生じません。



なぜ震源から少し離れただけで極端に揺れが小さくなるのか?


防災に本当に必要な地震予測は、活断層がいつどう動くかだけではなく、揺れの強さとその頻度です。


発生した地震が地表をどのように揺らすのか?


特定の地点が地震に見舞われる確率や揺れの程度はどれくらいなのか?


といったことを予測しなければなりません。



活断層から発生する内陸地震を再現するためには、まずコンピューター上の仮想空間で断層位置と大きさを決め、断層を動かし、地震の規模に応じた強さの地震波を発生させます。


これを「震源過程」といいます。



この震源過程だけで揺れは決まりません。
深さ十数キロメートル~数キロメートルの断層から発せられた地震波は、その後地表に到達するまで、岩盤中や柔らかい堆積物中を伝わります。


これを「地震波の伝播」といいます。



P波とS波の振幅は、硬い岩盤中ではおおよそ距離の2乗に反比例して弱まります。


電源から遠方で揺れが小さくなる理由は、この距離減衰です。


ただし、この距離減衰の程度は地震波の周期の長短でも変わります。
周期とは揺れが1往復するのにかかる時間です。



音楽と同じで、地震波もさまざまな周期の波が重なり合っています。


M8以上の巨大地震になると、短周期だけでなく、長周期の波も含みます。


音楽に例えれば、M6~7の地震は中高音を主体とするのに対して、それ以上の巨大地震はコントラバスなどの低音を含んでいるようなものです。


低音が遠くまで響くのと同様、波長の長い地震波も遠くまで届きます。


巨大地震で広域に揺れるのは、規模の大きさと震源の深さなどの条件だけでなく、このような波の特性も影響しているのです。



活断層型の内陸地震は、震源が浅く、短波長成分の波が中心なので、震源断層から少し離れるだけで揺れは小さくなります。


その証拠に、兵庫県南部地震では少し離れた大阪の震度はわずか4程度でした。



地盤が硬いと揺れが弱くなると言われる理由とは?


深く硬い地盤中で弱まった地震波は、表層の堆積物を通過するときに復活します。


柔らかい堆積物によって波が増幅されるためです。


これを表層地盤増幅といい、増幅される倍率を地盤増幅率といいます。



地盤増幅率は、柔らかい堆積物の厚さで決まります。


たとえば、関東平野では全般的に増幅率は1.5倍以上で、2倍以上にもなる場所もあります。



山地などでは堆積物がなく、岩盤が剥き出しなので増幅は起こりません。


兵庫県南部地震で神戸の山手側での被害が小さかったのは、住宅の多くが六甲山の硬い花崗岩の上に立地されていたからです。


逆に、幹線道路や鉄道路線、市街地などで被害が大きくなったのは、地下にある1キロメートルもの厚さの堆積物によって地震波が増幅したのが原因なのです。



熊本地震でも、表層地盤増幅によって被害が大きくなりました。


益城町で地表に設置された地震計には1362ガルが記録されましたが、地中225メートルの位置ではわずか288ガルだったのです。


表層の堆積物でどれだけ地震波が増幅されたかがわかります。


つまり、火災やパニックさえ起きなければ、地下鉄構内などの地下空間は安全なのです。



「3.11」から800kmも離れた大阪市の高層ビルが大きく揺れた原因


浅い大地震からは、P波とS波に加えて周期の長い表面波も発せられます。


長周期の表面波は、大きな平野や盆地に堆積している厚い堆積物で増幅され、その上に建つ高層ビルと共振します。



東北地方太平洋沖地震では、震源から800キロメートルも離れた大阪市にある55階建ての咲洲庁舎が共振現象を起こしました。


最上階では最大1.4メートル以上も水平に揺れ動き、その動きは10分間も続きました。


そのため、大地震の後には、普通の震度だけではなく長周期地震動階級というのも発表されるようになりました。



長周期の表面波は、少なからず内陸地震からも発せられます。


2004年の新潟県中越地震では、200キロメートルほど離れた関東平野で長周期の表面波が増幅され、数分間にわたって高層ビルを揺らしました。


また、熊本地震でも震源断層近傍で大きな長周期地震動が観測されていました。



地震ハザードマップ


以上のように、震源過程、距離減衰、表層地盤増幅などを考慮して日本全国の地震発生確率ではなく、「揺れの予測」を表示したものが地震ハザードマップです。


正確には「確率論的地震動予測地図」といい、今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を表しています。



もう少し詳しく説明すると、
活断層による内陸地震だけではなく、海溝型地震やその他のタイプのすべての地震も含まれており、これらすべての地震の影響を重ね合わせて、今後30年間に少なくとも1回震度6弱の揺れが生じる確率を示しています。


南海トラフ沿いの海溝型地震の影響により、西日本の太平洋沿岸地域の確率は必然的に高くなっています。


また、注意しなければならないのが、確率論的地震動予測地図はあくまでも「地震動が、ある一定震度を超える確率」であって、「地震の発生確率」ではないということです。


地震による被害は「揺れ」だけじゃない!断層のずれによる被害とは? - 南海トラフ地震警戒情報