南海トラフ地震警戒情報

自ら四国沿岸部へ移住し南海トラフ地震の観測、研究をしています。南海トラフをはじめ、その他の巨大地震などを潮位、地殻変動、マグマ、火山活動や静穏化現象などの様々な異常を総合判断し、警告します。 ※人的被害を減らすのが目的で、予言などではありません。


巨大地震がいつ起きてもおかしくない?日本の長大活断層「糸静線」

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糸魚川・静岡構造線活断層帯とは?


糸魚川・静岡構造線活断層帯(糸静線)は、本州の中央部を南北に分断する大断層です。


新潟県糸魚川市から静岡市までに至る長大な断層です。



この構造線を境に、本州の地質が一変します。


西は約2億年前~6000万年前の地層、東は2000万年前以降の大地溝帯、「フォッサマグナ」に堆積した新しい地層からなります。



フォッサマグナとは、新潟県から長野県東部、山梨県、静岡県東部にかけて分布する、数キロメートルもの厚さの堆積物や火山噴出物の分布域をいいます。


日本海が形成され始めたのは約2500万年前~2000万年前頃で、これ以降日本列島は大陸から分かれていきます。


その過程で、本州は逆くの字に曲がり、中央部で本州を2つに断ち切る巨大な割れ目が生じました。


その大地溝帯に海水が侵入すると同時に、地殻変動によって海底火山活動も活発になりました。


フォッサマグナを埋める厚い堆積物は、この過程で生じました。



糸静線はフォッサマグナの西縁に位置する断層です。


フォッサマグナの形成過程で本州が東西に引き裂かれた際には、多数の正断層が形成されました。


糸静線もそのような正断層群の一部でした。


その後、第四紀後期(数十万年前~現在)になって東西方向に圧縮され、一部が活断層として活動を再開しました。



糸静線から発生する大地震が地震予知の対象となったのは、1980年代です。


80年代後半には東大地震研究所を中心とした研究者らによって、岡谷市や茅野市でトレンチ調査が実施されました。


平均活動間隔が4000年~5000年で、最後に活動したのが1200年前だから、それほど危険な断層ではないと当時は考えられていました。


しかし、その後、1990年代には工業技術院地質調査所によって多くの地点でトレンチ調査が行われました。


その結果、牛伏寺断層では平均約1000年間隔で活動してきたことが明らかになり、近い将来に大地震を発生させる可能性がかなり高いということがわかったのです。



また、糸静線は150キロメートルの全体が1つの内陸巨大地震を引き起こす可能性があり、最悪の場合M8を超える地震が発生すると公表されていました。


その後、多くのトレンチ調査が実施され、50ヶ所以上でデータが蓄積されました。


その結果、南部の逆断層区間は、北部・中部区間に比較して不活発で、1200年前頃に活動した痕跡がないことがわかりました。


つまり150キロメートルの長大活断層帯が一度に活動するという、最悪の事態になる可能性が低くなったのです。



糸静線で今後地震が起こる可能性 


糸静線では、2014年に長野県北部地震が発生しています。


糸静線北端の神城断層の一部が動きマグニチュード6.7の地震を引き起こしました。


しかし、このときの地震では、青木湖よりも南側の神城断層は動いていませんでした。


そうすると今後気になるのが、青木湖以南の神城断層と、さらに南に続く松本盆地東緑断層で今後大地震発生するのかどうかです。



神城断層は、仁科三湖と青木湖を二分していて、その後の度重なる断層運動で、湖底には南北に延びる高低差約30メートルの崖が生じています。


この部分は音波探査で地下に断層が存在し、湖底堆積物を大きく変位させていることがわかっています。


また青木湖では1980年代から音波探査に加え、ボーリング調査なども行われ、神城断層によって形成された湖底地形と地震の揺れの痕跡を記録する堆積物によって地震発生史が紐解かれてきました。



2015年の調査では、過去1万2000年の間に8回の断層運動が検出されました。


とくに、最近数回は1000年未満の短い活動間隔が推定され、神城断層北部での調査結果と整合します。


つまり、神城断層南部も、北部と同程度に大地震を発生させてきた歴史があるにもかかわらず、最近数百年は活動していないと考えられるのです。


南部は歪みを十分に蓄積している可能性が高いということが言えます。



木崎湖でも2006年に湖岸で調査が行われ、今から1200年前頃に大きな断層活動があったことがわかっています。


この1200年前というのが、この糸静線に広く共通する活動時期です。


この頃に動いた証拠が、白馬から南は山梨県小淵沢まで各所で見つかっています。


神城断層南部よりも南の糸静線には、最近1200年の間、歪みを溜め続けている可能性があるということです。


今後、「1200年前から歪みが溜まった区間」と「1200年前にも動かず歪みを溜め続けている区間」が連鎖的に次々に大地震を起こしても、なんら不思議ではないのです。