南海トラフ地震警戒情報

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活断層研究から地震の規模、発生時期を予測する。

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地震の大きさを予測する


活断層から発生する地震規模(マグニチュード)は、どのように予測すればいいのでしょうか?


海溝型地震の場合は、東北地方太平洋沖地震のようなM9クラスの超巨大地震を除き、発生間隔は数十年~200年程度です。


そのため予測する地震のマグニチュードは、歴史地震と近年の観測記録に基づいて決められてきました。


しかし、活断層の場合は活動間隔が1000年を超えるため、歴史記録・観測記録を用いることはできません。



活断層研究が興隆する1970年代以前は、内陸大地震の発生頻度を予測するため、中小規模の地震観測記録が用いられてきました。


GR則という地震発生の法則です。


これはマグニチュードが1小さくなると、そのM以上の地震は約10倍増えるという法則です。


小さい地震と同様、ある地域でM4以上の地震が年に1回観測されているとすると、M5以上の地震は10年に1回、M6以上は100年に1回、M7以上は1000年に1回発生すると単純に予想することができます。


この法則を用いて、ふだん起きている小さな地震の発生数から、まれにしか起きない大地震を予測することができるのです。



地震研究に地質学者が参入する以前は、このような原理を用いて大地震の危険度を評価していました。


一方、地質学者は活断層を直接調べてきました。


1980年代には、トレンチ調査というものが多く実施され、大地震発生史が地形学者・地質学者によって報告され始めました。


これを地震学者が作成したGR則の図に直接プロットしたところ、多くの活断層でGR則よりも数倍以上の頻度で大地震が発生していたことがわかりました。


つまり、それぞれの活断層は固有の地震規模と発生頻度を持ち、これらは地震観測から正しく予測できないというものです。


このことを「地震固有モデル」といいます。


言い換えると、数十年程度の地震観測よりも、数千~数万年間の活断層の動きを地層から直接調べるほうが、内陸大地震の予測に役立つということです。


これが本来の固有地震モデルなのですが、予測に役立てやすい形に単純化されています。


ある1つの活断層は固有の大地震を起こし、その際の断層長、ずれの量は毎回ほぼ一定であり、さらにそのような地震がほぼ同じ間隔で繰り返されるというものです。



活断層から発生するマグニチュードは断層の長さに比例し、断層の長さとずれ量もおおよそ比例関係にあります。


つまり、固有地震モデルでは、ある活断層が発見され、その位置が決まると自動的に断層長が求まり、固有地震規模が特定できます。


さらに、その断層の平均変位速度がわかっていると活断層ごとの固有のずれ量から固有の活動間隔も割り出すことができるのです。



トレンチ調査とは?


内陸地震は規模が大きくなると、地表に地震断層が顔を出します。


したがって、活断層による大地震の発生史は過去の地表面、すなわち現在観察できる地層中に「ずれ」として記録されています。


その記録を検出し、地層の年代を測定することにより、大地震の発生時期を推定することができます。



しかし、活断層によって切断された地層が自然の露頭で観察されることはきわめて稀です。


そこで、重機などを使って溝を掘り、意図的に地層を露出させるのです。


このような調査方法のことを「トレンチ調査」といいます。


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トレンチの大きさは、深さ2~5メートル程度、長さ10~30メートル程度です。


このトレンチ内に露出する地層には、複数回の断層活動の痕跡が刻まれていることもあります。


1つのトレンチから10回弱の断層運動が解読された例もあります。


しかし、深さ2~5メートル程度の地層からの情報には限界があります。


断層の活動間隔を明らかにするためには、少なくとも2回の断層運動が必要です。


そのため、複数箇所でトレンチ調査を実施し、それらの結果を組み合わせるのが通例となっています。



活断層の長さから規模を予測


活断層から発生する地震のマグニチュードを予測するためには、活断層の長さを決める必要があります。


実は1つの活断層を厳密に決めるのは容易ではないのです。



活断層の密集域では、断層の端を定めるのが非常に困難です。


隣の断層と分離して考えるのか、それとも1つの断層「帯」にするかという判断が難しいのです。



活断層のグルーピング問題


地図をどのスケールまで拡大・縮小するかで見かけの断層の連続、不連続も変化します。


10万分の1スケールの地図上では連続している断層が、1万分の1程度まで拡大すると不連続になることもあるのです。


活断層の長さが地震規模に直結するので、深刻な問題となります。



たとえば、1891年に起きたM8.0の濃尾地震では、温見断層、根尾谷断層、梅原断層の3つの活断層が動きました。


これらの断層は不連続で、それぞれの断層同士が約2キロメートル以上離れていました。



濃尾地震の震源は断層群の北端にあったとされています。


そのため断層のずれは一番北にある温見断層から始まり、2キロメートル以上のギャップを超えて根尾谷断層におよび、さらに2キロメートル以上のギャップを超えて梅原断層に到達したのです。


このような離れた断層の連動現象が起こった結果、破壊の長さが延び、マグニチュード8.0という巨大地震になったのです。


また、カリフォルニア州では大小9つの断層、総延長にして約80キロメートルにもわたって、あみだくじのように次から次へと破壊が乗り移った例があります。



このような全世界の地震断層のデータを集めて調べたところ、断層上の破壊の連動と停止には、離隔距離が効いていることがわかりました。


横ずれ断層の場合、離隔距離が5キロメートルを超えて破壊が進展した例はありませんでした。


つまり、活断層分布を見て、隣の断層と5キロメートル以上離れていれば、1つの地震を起こす活断層と定義することが可能ということです。



しかし、この方法では、最大地震は想定できても、実際に起こる地震規模を適確に予測できません。


数百キロメートルもあるような長大な活断層では、断層はほぼ連続します。


そのため、この5キロメートルという基準を適用すると、とてつもなく巨大な地震が想定されます。


しかし、一度に全区間が動くわけではありません。



長大活断層のなかで実際にどの部分が活動するのか、そのときにどのような大きさの地震がどのくらいの頻度で発生するのか、これを解明する必要があるのです。


日本には中央構造線活断層帯糸魚川・静岡構造線活断層帯などの100キロメートルを優に超える長大活断層があります。


両活断層帯は特に集中的に調査が実施されており、その結果、地震の繰り返しごとに活動の区間が変化する、つまり連動パターンが毎回変化するということが明らかになりつつあります。



巨大地震がいつ起きてもおかしくない?日本の長大活断層「糸静線」 - 南海トラフ地震警戒情報