南海トラフ地震警戒情報

自ら四国沿岸部へ移住し南海トラフ地震の観測、研究をしています。南海トラフをはじめ、その他の巨大地震などを潮位、地殻変動、マグマ、火山活動や静穏化現象などの様々な異常を総合判断し、警告します。 ※人的被害を減らすのが目的で、予言などではありません。


防災にも役立つ、地震の種類と規模を体感で測る方法!

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突然襲ってくる地震がどのような種類の地震で、どれくらいの規模なのか?


そして次に何が起こる可能性が高いのかを、瞬時に判断して適切な避難行動を行う必要があります。


今回の記事は、特に防災知識として皆さんにぜひ頭に入れておいて頂きたいので、ぜひ最後まで読んでいただければ嬉しいです。



断層の歪みによって地震が起こる


最近発生した、熊本地震や大阪北部地震や胆振東部地震などはいわゆる「直下型地震」でした。


正確には、内陸地殻内地震といい、短縮して「内陸地震」と呼ばれています。



このような内陸地震とは別に、東北地方太平洋沖地震や南海トラフ地震などを「海溝型地震」といいます。


地面が揺れるという現象は基本的に同じですが、内陸地震と海溝型地震とでは、震源の場所や深さ、発生メカニズムや規模、被害の様相など、地震としての性格が大きく異なります。



地震は数十年から数万年という長期間にわたって地殻内に蓄えられた歪みが、断層という弱い部分から数秒~数十秒間に一気に地震波として解放される現象のことです。


このように地震が断層運動によって生じるという「弾性反発説」が提案されたのが約100年前、そして観測と論理から証明されたのはわずか約50年前のことです。



内陸地震のメカニズム


断層を挟んで両側にそれぞれ異なる向きの力が加わると、断層周辺の地殻が徐々に歪みます。


日本の内陸の地殻は花崗岩や変成岩など多様な岩石から構成され、見た目には到底イメージできませんが、数百キロメートル単位のマクロな視点ではゴムのように弾性的な性質があります。


その歪みが断層の強度に打ち勝った瞬間に、岩盤が断層面を境に一気にずれ動きます。


このときに溜まっていた歪みが地震動として放出されるのです。



地下の断層運動を直接観察することはできないため、断層の位置、規模、動きなどを推定するために、主として3つの情報が使われます。


1つ目は、地震動(揺れ)
2つ目は、地殻変動
3つ目は、地表に現れた断層です。


地表に現れた断層については、震源が海だと直接確認できませんが、逆に地表での変動が海水を動かし、それが津波となって、震源の推定にも使われます。



地震波の種類


地震波には、縦波といわれるP波横波のS波の2種類があります。


P波は最初に感じるカタカタッというような小刻みな揺れで、状況によっては気づかないこともあるほど揺れ自体は小さいのが特徴です。


地面の振動方向が震源からの波の伝わる方向と一致するため「縦波」と呼ばれています。



このP波の後にやってくるのがS波です。


主要動とも呼ばれ、地震による被害はこのS波からもたらされます。


S波は波の伝わる方向と直角の向きに振動するため「横波」と呼ばれています。



この2種類の波は震源では同時に発せられますが、P波のほうが速いので、実際の揺れとしては両方の波が分離されることになります。


ちなみに緊急地震速報は、この時間差を利用して先にP波を感知してから発せられるものです。


しかし、震源からは同時に発せられるため、地面のすぐ下で起きる直下型地震の場合は役に立たないのです。



地震の規模と断層


マグニチュードは、このような地震波の観測記録を使って求められます。


地震は震源に近いほど振幅が大きく、遠いほど小さくなります。


そのため、地震同士の大きさを比較するには、震源から同じ距離にある地震計で記録された振幅を、それぞれ比較する必要があります。


マグニチュードを決めるためには、震源からある一定距離のところで計測された地震波の最大振幅が用いられます。



地震規模が大きいと最大振幅も大きくなるため、マグニチュードは大きくなります。


実際には、利用する地震波の区別や、最大振幅と周期との比をとり、各種の補正を加えるなどします。



モーメントマグニチュードとは?


地震を起こした地下の断層を「震源断層」といいます。


震源断層での断層運動は、モーメントという物理量で表すことができます。


具体的には、断層の長さ、断層の幅、断層沿いでのずれの大きさ、地殻の剛性率の積として表されます。


地殻の剛性率は定数なので、個々の地震のモーメントは断層の長さ、幅、変位量で単純な比較が可能となります。



3つのパラメータの積なので、地震モーメントを視覚的に体積として表現することができます。


この地震モーメントを考慮して求めたマグニチュードを「モーメントマグニチュード」といいます。


これを使えば世界中の地震を相互に比較できるのです。



1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)はM7.3でした。


そして、2000年に起きた鳥取県西部地震も同じくM7.3です。


しかし、これらをモーメントマグニチュードで表すと、兵庫県南部地震はMw6.9鳥取県西部地震はMw6.6となります。


Mwが1大きくなると、モーメントは32倍大きくなるため、Mwの差はわずか0.3ですが、エネルギーで比べると兵庫県南部地震のほうが3倍大きいことになるのです。



東北地方太平洋沖地震との比較


兵庫県南部地震の震源断層
長さ   約50km
幅    約20km
平均のずれ約2m


東北地方太平洋沖地震の震源断層
長さ   約500km
幅    約200km
平均のずれ約20m



防災知識としても役立てることができる


東日本大震災は阪神淡路大震災と比較して、すべてが10倍なので、10×10×10で約1000倍モーメントが大きいのです。


このような数百キロメートルから数百キロメートルにおよぶ断層では、断層全体が一度にずれ動くわけではありません。


最初にずれが生じる部分、いわゆる震源から秒速1~3キロメートルの速さで、ジッパーを動かすようにずれが断層沿いに伝わっていきます。



東北地方太平洋沖地震では、断層の長さが500キロメートルもあったので、断層末端にずれがおよぶまで約3分かかりました。


これが3分以上の揺れが継続した原因なのです。



つまり、地震動の継続時間が長いほど、動いた断層の規模が大きいということです。


ちなみに兵庫県南部地震や熊本地震の揺れは10秒程度でした。


この揺れの時間が長ければ長いほど大きな地震が発生したということが体感でわかるのです。



東日本大震災で津波被害が大きくなった原因のひとつとして、津波への危機感が薄かったことがあげられます。


潮がひいていないから津波はこない
津波は起きても、大した被害にはならないだろう
といったように、危機感が薄れており、避難よりも家族の安全確認や、自宅の心配などを優先してしまう人が多かったのです。



しかし、この地震の揺れは約3分も続きました。


おそらく実際に地震にあった人からすれば5分や10分くらい長い間揺れたと感じるかもしれません。


その時点でそれがどのような地震で、次に何が起きるのかというのをある程度想定しなければいけないのです。


つまり3分以上も長い間、揺れが継続している時点で、海溝型の大地震だと判断し、大津波の発生を想定してすぐに避難しなければいけないのです。



逆に揺れは大きくても、10秒程度しか継続しなければ、内陸地震を疑うことができます。


その場合は、次にさらに大きな揺れがくる可能性を頭に入れて避難行動をしなければいけません。



何も情報を得る手段がないようなときには、この知識は非常に有効です。


このような防災知識があるだけでも、東日本大震災ではどれほどの命が助かったことでしょうか。