南海トラフ地震警戒情報

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海抜ゼロ地帯日本一の愛知県の津波による甚大な被害 防潮堤は役に立たない?

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日本列島のほぼ中央、太平洋ベルト地帯の中心でもある愛知県は、港湾取扱貨物量で国内一位を誇ります。


日本の輸出入貨物の99.7%は海上輸送であり、愛知県はまさに「日本の海軍基地」といえます。


自動車関連などの大企業本社が密集


愛知県はトヨタ自動車、デンソー、日本ガイシ、アイシン、大同特殊鋼といった自動車関連、工作機械の大企業本社があり、自動車、自動車部品、工作機械、航空機部品等では全国の4割以上を生産する一大工業都市です。


また2005年には、伊勢湾に面して中部国際空港、いわゆるセントレアが開港しました。



まず東海地震については、渥美半島や県東部などが震源に近いということで、大半が震度5強~6弱、一部で6強と予想しています。


知多半島、岡崎平野、濃尾平野のほぼ全域が震度5強、一部で6弱となります。


地震防災対策強化地域に指定された市町村は、ほとんどの予想が震度6弱以上となっています。



東南海地震の場合はどうでしょうか。
震源に近い渥美半島、知多半島、濃尾平野の南部で震度6強。一部は震度7に達するとされています。


そして県南西部のほぼ全域で震度6弱以上の揺れとなります。



東海・東南海地震が連動したら


愛知県の「東海地震・東南海地震等被害予測調査報告書」によると、もし冬の早朝5時に東海・東南海地震が連動して発生した場合、次のような被害がでると予測されています。


死者2400人
負傷者6万6000人
建物全壊9万8000棟
半壊23万棟


しかし南海トラフ巨大地震の想定では、最悪のケースで死者の数は従来の10倍近い2万3000人に膨れ上がります。



名古屋港の沖合には約12キロにわたって、鍋田堤、中央堤、知多堤という三つで全長7.6キロの高潮防波堤が造られています。


鍋田堤の高さは6.4メートルですが、これは1959年の伊勢湾台風を教訓としたもので、津波対策に造られたものではありません。


津波は膨大な水量が一気に押し寄せるため、防波堤はそれに耐える強度がなくてはなりません。

だが、これらの防波堤は最上部で厚さ60センチしかありません。
これでは押し寄せる津波には到底耐えることはできません。



防潮堤が役に立たない


防波堤の完成は1964年で、以来50年弱の間に最大で2メートルの地盤沈下が起きています。


東海地震の想定では、この防波堤や防潮堤は地震によりさらに3メートル沈む可能性があるといいます。


理由は液状化現象です。
一般的な防潮堤は、海底の砂地に石を積み上げて土台を造り、そこにコンクリートを並べて建設されます。


しかし砂地が揺れて液状化すると、土台が沈み込んでしまいます。



これまで政府の地震想定では、名古屋港を襲う津波は最大で3メートル程度としてきました。
この津波を防ぐ前提で、港や川沿いを整備してきたのです。


しかし2012年に発表された南海トラフ巨大地震の想定では、津波の高さが田原市の22メートルをはじめ、豊橋市19メートル南知多町10メートル名古屋市でも港区で5メートルという数値がでています。


こうなると民家の二階でも水没する可能性があります。


防潮扉が閉まらない


もし津波が防潮堤を越えた場合、海水は沿岸部から各河川へと逆流します。


この逆流を防ぐには、堤防や防潮扉を強化するしかありません。


名古屋港には51の防潮扉があります。
うち常時閉鎖中は16ヶ所。
つまり、残り35ヶ所は災害時に閉鎖を確認しなければなりません。


阪神淡路大震災では多くの防潮堤が地震の揺れや液状化現象によって壊れました。

防波堤以上の高さの津波


津波は海水の塊が押し寄せるので、さえぎるものがあればその場所で高さを増します。


つまり防潮堤に当たることで高さを増し、乗り越えてしまう可能性が考えられます。



船が防潮堤や水門を破壊


名古屋港では年間4万5000隻の船舶が入港しています。


これは1日に100隻以上が停泊している計算になります。


津浪は台風と違って巨大な海水の移動なので、それと一緒に船も流されます。


外洋に避難できなかった数万トンの大型船が、時速50キロ前後の速さで岸壁や防潮堤に激突する可能性もあります。


破壊された防潮堤からは第二波、第三波の津波が陸地に流れ込んでいきます。
さらにそれがタンカーであれば、漏れ出たオイルも町中に流れ込みます。


東日本大震災では、気仙沼で100トン以上の大型船か17隻も市内に打ち上げられました。


最も大きい漁船は、岸壁から1キロ近くも内陸に流されていました。



貯木場から流れ出しす木材


M9.1の南海トラフ巨大地震の場合、名古屋湾奥の名古屋港区に津波が到達するまで、103分と予想されています。


名古屋港を覆った津波は、そのまま河川を逆流し、川の水位を急上昇させながら北上していきます。


川幅が狭まれば、逆流する海水はさらに水位を増し、堤防を各所で越えてしまいます。



東日本大震災では、津波が北上川、阿武隈川、名取川などを逆流しました。
激しい濁流が川の堤防を乗り越えながら逆流し、川沿いに内陸深くまで大きな被害をもたらしました。


たとえば宮城県の五間堀川では河口から5.8キロの地点まで津波が逆流しています。


こうした逆流現象は、震源地から遠く離れた神奈川県などでも確認されています。


津波による逆流は、海水が川をさかのぼるというだけではありません。

大量の瓦礫や流木、泥、港にあったはずの自動車や船なども巻き込みながら逆流していきます。


名古屋港に8000個あるといわれるコンテナも、一斉に市内に向かって流れ出します。

コンテナは一つ2トンもあり、それだけ巨大な塊がぶつかれば、橋も堤防も建物も無事ではいられない。



名古屋大学と三重県が合同で行ったM9の東海・東南海・南海の連動地震シミュレーションでも、名古屋港を襲う津波の高さは従来予測の二倍となる5メートルとなっています。


この場合、地震発生から80分で第一波が到達、名古屋港や周辺河川の水位が急上昇し、河口部に水門がない天白川や山崎川では、河口から約3キロ地点で川幅が狭くなって水位が押し上げられ、津波が堤防を越えます。


実際には、早くに堤防が決壊するかもしれないし、地震の揺れによる液状化現象で堤防自体が沈んでいる可能性もあります。
そうなれば名古屋駅周辺の浸水被害は拡大してしまう。



海抜ゼロメートル地帯の広さは日本最大


名古屋市に広がる海抜ゼロメートル地帯の広さは、日本最大だといいます。


さらにその下には、大阪クリスタ長堀、東京八重洲、神奈川の川崎アゼリアに次ぐ国内第4位の規模を誇る地下街が広がっています。


その地下通路は市内の様々な施設やオフィスビルと接続しています。
名古屋鉄道と地下鉄にも接続し、主要商業施設を結ぶ役割を担っています。


例えば神戸市営地下鉄では、海岸に最も近い海岸線和田岬駅の場合、駅ホームは地下だが出入口が一階と二階にも設置されています。
これは一階出入口を防水扉で完全閉鎖した場合を想定しているためです。


名古屋の場合、地下鉄名古屋港線などでは防潮扉がもうけられていますが、大雨による河川氾濫などを想定した浸水対策にすぎません。


防潮堤や堤防を破壊し、怒濤のごとく突き進む津波の破壊力を前提にしたものではありません。


もし地下鉄のトンネルが水路となって浸水が広がれば、地上よりさらに広い範囲に被害が拡大する可能性があります。


また地下鉄内での地震は、地下街よりさらに脱出を困難にします。
電車が非常停止しても、トンネル内に取り残されることになり、停電になれば本当に真っ暗な空間となってしまう。
そして各駅では乗客が一斉に改札に向かいパニックが起こります。



東日本大震災にともなう地震では、横浜市営地下鉄で停電が起きています。


この時電車が駅間で立ち往生し、乗客40名が1キロのトンネルを歩いて避難しました。


もし激しい揺れで電源ケーブル、非常用電源が断線したり、接合部が外れたりすれば、乗客は闇の中に取り残されることになります。


電車には可燃物は極力使用されていませんが、もし火災が起これば、煙が充満して酸欠になる恐れもあるし、有毒ガスの発生も考えられます。

送風機がうまく働けばいいですが、停電や揺れによる故障で止まれば全員死亡ということも起こりえます。



また津波の場合、のちのち塩害という大きな問題が残ります。


津波で町が海水に浸かると、その後ほとんどすべての電気に関係するものは取り替えが必要になります。


地下の水道管やガス管も、将来の耐久性、信頼性がまったく保証できなくなるのです。