南海トラフ地震警戒情報

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日本の地震予知研究の実情!東海地震は予知できるのか?

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東日本大震災以後、「多額の国家予算を使っているのにひとつも予知できていない!」と地震予知研究は批判の的となりました。



しかし地震予知研究にあてられてきた国家予算はそれほど多くはありません。


例えば平成25年度の予算は約171億円でしたが、そのうち「予知」の研究に使われたのはわずか4億円です。


具体的には火山噴火予知研究や海底地震計の敷設、首都圏での地震観測網の拡充、活断層調査などが中心ですが、



その4億円ですらそのほとんどが地震観測や火山観測の維持・管理などで、真の意味での地震予知研究に使われたのは国家予算の0.1%たらず(約1700万円)でした。


言い方を変えればそれだけの予算があるにも関わらず国は地震予知研究にはまったく力を入れていないということになります。


しかも、その余った予算が何に使われているのかというのも私たちが知ることはないのです。




なぜか打ち切られた大型プロジェクト


短期・直前予知研究にあてられている予算は年間1700万円程度てすが、一度だけ億単位の予算がついたことがありました。


それが、阪神淡路大震災の翌年から始まった大型プロジェクト「地震国際フロンティア研究」です。



これは、科学技術庁の主導による五カ年計画の短期・直前地震予知研究プロジェクトで、電磁気学的な手法を中心とした研究でした。


伊豆諸島の地電位差観測もこの予算で行われ、プロジェクト終了の前に異例ともいえる二度の外部評価を受けて、いずれも「継続する価値あり」との回答でした。


その評価をもとに研究を継続する方向でしたが政治的な力が働いてか、なぜか研究は打ち切られてしまいました。



このプロジェクトでは地震の危険性が高いと判断したところに観測点を置きました。


その中には2014年に噴火した御嶽山のふもと長野県王滝村や、同年にマグニチュード6.7の地震が発生した長野県白馬村にも地電位差観測点がありました。



仮に観測が継続されていれば、15年程度のデータが蓄積されていたのでノイズなどと区別できる先行異常変化があったかどうかは少なくとも明らかにできていたはずです。


発生間隔が長い大きな地震の先行現象を研究するには、長期にわたって観測を続けられることが重要なのです。




長期・中期・短期による予測の違い


地震予測をその時間的な長さから区別すると長期、中期、短期に分けられます。



「30年以内に南海トラフ地震が発生する確率は80%」などという予測が政府から発表されていますが、


この○年というのが10年以上だと長期予測で、数年単位だと中期予測になります。


そして先ほど説明した「短期・直前予知研究」は、数ヶ月から数日前に予知情報を出すための研究でした。



また、2007年より開始された緊急地震速報はこれらの予知とはまったく異なるものです。


予知や予測は地震が発生する前に行われるものですが、緊急地震速報は地震発生後にITの力を利用してできるだけ早く情報を伝えるシステムです。


具体的には地震が発生した後のP波を捉え、その後にくるS波を予測します。


震源が遠い場合は大きな揺れが来るまでに避難行動をとることが可能ですが、震源が近い直下型地震等の場合はほぼ間に合いません。



震源が近ければ近いほど緊急地震速報の意味はなくなり、さらに揺れは大きくなり、被害も大きくなります。



短期・直前予知から短期・直前“予測”研究へ


もし短期・直前予知ができれば、逃げるタイミングと逃げる時間が確保されます。


したがって避難に時間を要する高齢者などの生命を守ることに効果があるだけでなく、地震発生直後に津波が襲ってくる地域に暮らす住民の命も守るとこができます。



長期、中期予測は逃げる時間が十分にあってもいつ避難すればいいのか?そのタイミングがわかりません。


しかし、建物を耐震化する、高台へ引っ越すなどの地震が起きたときの災害を減らすことについては有効な情報になります。



ただ、いくら耐震化をしたり高台に引っ越したり、家具を固定し、更にシェルターまで構えたからといって地震が発生したときに必ずしも家にいるとは限りません。


生命を直接的に守るといった点では短期・直前予知研究こそが地震予測研究の本命と言えます。


しかし、時間、場所、規模の三要素を100%の確率で示す決定論的な予知は少なくとも現時点では不可能です。



私は将来的には決定論的な予知も可能になると考えていますが、いまは「確率論的な研究で予測制度を高めていく段階」なのです。



後予知に関する批判


後予知とは地震が起きた後に「実は地震前にこんな異常があった」と、後になって前兆現象を指摘することです。



地震が起きた後に先行現象を発見し、その研究結果を公表しても批判の的となり地震前に捉えた先行現象と思われるものをどの程度確かなのかもはっきりしない段階で公表するということに関しても様々な問題があります。



これでは、本当に重要な情報があったとしてもなかなか国民のもとにはその情報は入ってきません。


研究者には、不確実な情報であってもそれを防災・減災に役立てるために予測研究に関する理解を社会に浸透させる努力が必要だと思っています。



東海地震は予知が可能なのか?


首相が警戒宣言を出すことができることを定めた大規模地震対策特別措置法は東海地震のみを対象としています。


これができたことにより、東海地震は100%予知できるという幻想が世間に広まっていきました。



しかし、実際には東海地震を100%予知できると考えている研究者はまずいません。


プレスリップが十分な先行時間をもって陸側で発生すれば、と言いますが、できるとしてもそれは条件付きです。



研究が進み、思っていた以上に地震の発生過程は複雑な現象であることがわかってきました。


現時点では地震は確率論的に考えなければいけません。


後予知と批判をされても、まずは過去に起きた現象をしっかりと捉えることが重要です。



予知の前にできること


天気予報でも昔は台風の接近もなかなかわかりませんでした。


しかし、富士山レーダーや、その後、静止気象衛星の進歩などにより、ほぼ正確に予測が可能になりました。



このように現在の状況をより正確に知ることで予測の精度は向上します。


その意味で高感度微小地震観測網GPS連続観測システムなどは、天気予報における気象概況に相当するデータを提供する基礎を築いたと言えます。



東海大学ではこれらの地震データから現在の地下の状況を可視化して表現する方法を考案しました。


いわゆるこの「地下天気図」のようなものができたことにより、大地震の前にはある特徴的なパターンが出現する可能性が高いということがわかってきました。



この地下天気図により何が明らかになったのかについては、次回詳しく説明したいと思います。



現在、「地震は予知できない」と国が発表してから予知研究を諦めたというマイナスイメージばかりが国民を取り巻いていますが、実際はかなりハイペースで研究は進んでいます。


1つ1つの可能性を確実に拾い上げて、それらをすべて国を挙げて研究することができれば、本当に近い将来、短期・直前予知ができるようになるかもしれないのです。