南海トラフ地震警戒情報

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人の感覚で認識できる地震前兆現象で地震を予知できる? 世界初の地震予知成功例「海城地震」

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動物の異常行動や地震雲と呼ばれているものなど、人の目で判断することができる現象を「宏観現象」といいます。


例えば、ペットが暴れる、カラスが騒ぐ、深海魚やイルカ、クジラが打ち上げられるなどの動物の異常行動に関するもの他に、


地震雲、発光現象など、空や雲に関する異常現象、TVやラジオ、リモコンの誤動作などの電気製品の異常や耳鳴り、頭痛、寒気といった人間の異常など様々なものが言われています。


また、三陸沖地震の際にみられた地下水の渇水や濁り、熊本地震で報告の多かった地鳴りなども「宏観現象」に含まれます。


これらの現象は本当に地震の前兆現象といえるのか、もしくは、どれほど関連性があるのでしょうか?



ナマズと地震の関係


日本では昔から大地震の前にナマズが騒ぐといった伝承がありました。


実はこのナマズと地震の関係については、実際に科学的な研究が行われています。



東北大学付属浅虫臨海実験所


テーブルの上の水槽にナマズを入れ、そのテーブルを指で叩いてナマズの反応を調べる。というシンプルな実験が約一年間行われました。


この実験では、敏感に反応する場合は80%の確率で数時間以内に実際に地震が発生したと報告しています。



東京都水産試験場


ここでは、1976年から1992年の16年間にかけて、ナマズの行動の定量化をはかり、客観的に異常行動を判定し、地震との関係を調査しました。


その結果、1978年からの14年間に、東京都で震度3以上を記録した日の10日前までに、異常行動が見られたのが3割1分であったと報告しています。



神奈川県淡水魚増殖試験場


ここでは、1979年から1984年まで、ナマズの行動を連続観察し、地震との関連性が認められる異常行動を抽出しました。


この期間中に、対象エリアでの震度3以上の地震は24個あり、それらの地震に先行するナマズの異常行動は10回あったとしています。


しかし、期間中のナマズの異常行動自体は全部で約150回あり、地震を伴った異常行動はわずか7%程度ですので地震予知のための情報としては残念な結果となりました。



動物の異常行動で地震を予測できる?


東京大学地震研究所長を務めたR氏は、この宏観現象についての研究を精力的に行っていました。


R氏の説明では、異常現象はミミズなどの体が小さいものから発現し、地震発生日に近づくにつれて、馬などの大きな動物へ波及していく傾向が見られるとしています。


また、大地震ほど遠くまで異常が出現し、前兆の出現時間については本震の100日前頃から始まり、10日ぐらい前から急増し、1日から半日くらい前にピークに達するとしています。


そして、このような傾向から複数の前兆により、震源およびマグニチュードの予測が可能であると述べています。


また、前兆現象のなかには「偽」のシグナルも含まれていて、本物は20~50個に1個程度であるとの可能性も示しています。



大阪大学のI氏は、ネズミが落ち着かなくなる、魚が同じ方向を向く、テレビにノイズが入るなど、阪神淡路大震災で報告された事例を中心に、電磁気現象の実験により、これらを再現しました。


この実験により、電磁気的な刺激によって、地震前と同様の現象が起こるということが実証されました。


しかし、地震の前に動物が異常行動を示したときに、同時にその元となった電磁気が観測されたわけではありません。
実験で使われた電磁気が、地震の前に動物の異常行動とともに観測されれば、動物異常行動とその原因に関する研究は、大きく飛躍するでしょう。



唯一、予知に成功した地震


1970年代、中国では国家を挙げて地震予知に取り組んでいました。


1975年に中国河北省で発生したマグニチュード7.3の「海城地震」は、唯一の地震予知の成功例として取り上げられました。


海城地震の予知には、地震活動や地電流など機器による観測以外に、地下水変化などの宏観異常現象の観測結果も役に立ったといわれています。



また、宏観異常現象が地震の前兆を捉えた可能性を数値で示した例として、1976年に四川省で発生した松藩・平武地震があります。


当時、機器による観測で異常が増えた段階で、宏観異常現象の報告を住民から募り始めました。


中国では、どのような現象が地震の前兆であるのかを、住民に理解していただくことから始め、また、上がってきた異常現象の報告もそのまま鵜呑みにせず、地震局のスタッフが現地へ赴き、前兆現象と言えるかどうかを確認していました。


たとえば鶏がやたら騒ぐという通報に対し、現地で確認したところ、ヘビの侵入が原因と断定された事例もありました。



そして6月下旬から開始して、宏観異常現象の報告が順調に増えていくのですが、その後、低調な期間が続き、M7.2の地震の約10日前から報告数が急増し、地震発生の直前になると明らかな減少を見せ、その後地震が発生しました。


情報収集開始直後に報告数が増えたのは、住民が関心を持ったためであると考えられます。


そして、その後、関心が冷めたため低調に推移しました。


そして地震直前に報告数が急増したのは、情報収集開始直後とは異なり、本物のシグナルが捉えられたため、と考えることができます。



ヒキガエルが地震を予知した例


2009年4月6日に発生したイタリア中部のラクイラ地震(M6.3)について、ヨーロッパヒキガエルのオスがこの地震を予知していたという報告があります。


英国オープン大学のグループは、3月27日から4月24日までの29日間、ラクイラから74kmほど離れたサンルフィノ湖でヒキガエルのオス、メス、そしてつがいの数を観察していました。


3月28日の時点で、交尾のために湖に集まってきたオスの数は90匹を超えていました。


しかし、3月31日には急激に減り、地震の5日前となる4月1日には、ほとんどのオスが湖からいなくなりました。



なぜこれが異常現象なのかというと、ヒキガエルのオスは繁殖地で冬眠し、産卵シーズンが終わるまで、その場を離れないという習性があるためです。


これが本当に地震と関係あるのかは明らかになっていませんが「通常ではあり得ない行動であり、その原因が一切わからないため、ちょうど直後に発生した大地震と結びつける以外に納得のいく説明ができない」と言っています。



阪神淡路大震災ではどうだったのか?


阪神淡路大震災とは、1995年1月17日に発生した兵庫県南部地震(M7.3)で6千人以上の死者がでました。


この地震は震源が都市部に近かったこともあってか、地震後には多くの前兆現象に関する証言が出てきました。



発光現象


その前兆には同じ現象についての複数の証言があります。


例えば、地震発生直前は夜明け前にもかかわらず、空が明るくなったというもので、これはいわゆる「発光現象」と考えられます。
複数の人が同じ時間帯に同じ方向で確認していることから、実際にあった可能性が高いです。



ラジオのノイズ


電気通信大学のN氏は地震発生時に震央付近を走行していたトラックの運転手から、ラジオに入った雑音の変化と、走行場所および時間を詳細に聞き取り、本震発生直前に強烈なノイズが放射されていた、と報告しています。


これは、そのトラックの運転手がアマチュア無線技師の経験があったことから、雑音レベルの変化を明確に記憶しており、このような報告につながりました。



地震雲


前兆現象のなかで一番報告が多かったのは地震雲でした。

一般的に地震雲といわれている雲の形は、飛行機雲のような直線状のものから層状のものなど多種多様です。


阪神淡路大震災前に見られたとされる竜巻雲は、地下から発生したガスにより生成されたという説もあります。



また、震源地から遠ざかるほど、空と大気の異常に関する証言が増え、震源から50km以内より、50km~100kmのほうが鳥類に関する証言が多いなど空間的な分布に偏りがあることがわかりました。


この震央からの距離による証言内容の違いについて、その真偽を統計的に検証すると、少なくとも震央から100km以内の証言は、ほぼ正しいと見てよいと主張する研究報告もあります。