南海トラフ地震警戒情報

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民間地震予測情報の価値は? メディア等で有名な「週刊M○○A地震予測」の信憑性は?

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あらゆる研究者達が発信する、予測情報は本当に役に立つものなのでしょうか?


全ての異常データ数のうち、実際に地震を伴った異常の数を「的中率」と表現し、全ての地震の数のうち予測されていた地震の数を「予測率」と表現します。


どちらも低いものは論外で、どちらかに偏っていてもいけません。
この的中率と予測率の両方が高い割合を示してはじめて評価することができます。



予測率と的中率で判断する


的中率だけが高くなるケース


例えば、マグニチュードが1小さくなると、地震の数はケタ違いに増えます。
予測の数が少なくても、小さな地震を対象とすれば的中率は高くなります。


しかし、予測できなかった地震の数が多くなるため、予測率は低くなります。



予測率だけが高くなるケース


例えば、年に2回、3回しか発生しないような地震であっても、ほぼ一年中予測情報を出していれば当たるといったケースです。


予測情報の乱発により、予測率は高くなりますが、当然的中率は低くなります。



両方が高いが信憑性が薄いケース


年中予測情報が発せられ、年中地震が発生している場合、マグニチュードの小さい地震を対象に予測情報を乱発すると、どちらも高くなるケースがあります。



価値のある情報


では、どういったものが価値のある情報なのでしょうか?
例えば、年に数回しか発生しない大きな地震を対象として、少ない数の予測情報を出しているもので、かつ予測率と的中率が比較的高い情報です。


ただ、予測情報の有効期間も重要な要素であり、これが長ければ予測情報の数が少なくても、予測情報を乱発したことと同等になります。


極端にいえば、今後1年間注意という予測は、「今後1ヶ月間注意」という予測情報を12回乱発していることと同じということになります。


だからといって、現時点で数日という短い単位で予測をすることは技術的に不可能ですので、あまりに期間が短すぎるものも信憑性がなさすぎます。



週刊M○○A地震予測


2011年の東日本大震災以降、テレビ番組や週刊誌などで取り上げられ、世間で最も注目を集めている地震予測はおそらく、GPSデータを用いたM東京大学名誉教授による手法ではないでしょうか。


このM氏は有料メルマガにて情報を配信していて、誰でもアクセスできるわけではありませんので、詳しい情報はわかりません。


減災目的なら無料で配信しろとの声も見られますが、運営の為に費用がかかってくることは仕方のないことです。

それを事業としている限り、どこかで費用を賄うように工夫しなければ民間の地震予測情報提供会社は経営が成り立ちません。  

また、そもそも防災意識の低い人は無料であっても真剣に見ることはないでしょうし、意識の高い人は有料であっても数百円程度の会費であれば安いと思えるのではないでしょうか。



肝心なのはその情報がどれだけ価値のあるものなのか?ということです。

わかる範囲で少し調べてみると、この情報を取り上げるメディアやウェブサイトでは、予測成功の事例を積極的に紹介していましたが、全部でどの程度の数の予測情報がだされていたのか等の肝心な「予測率」と「的中率」についてわかる情報がまったくありませんでした。


著書を見てみると、2014年に配信された情報が掲載されていました。
予測情報は主に震度5以上の地震が起きる可能性のある地域を指摘していて、


要警戒」1ヶ月以内
要注意」1~3ヶ月程度
要注視」3~6ヶ月程度


と期間ごとに3段階に分けられています。



ここで紹介されている内容では、この三つの警戒区域と約6ヶ月間の間に実際に発生した震度5以上の地震が書かれています。


地震は全部で合計4件発生していて、一つは長野県北部で2回発生しています。
このうちの一つはマグニチュード6.7の大きな地震の余震ですので、これらはまとめて1件とみなします。


その他に、徳島県南部(M5.1)と岩手県沖(M5.7)が発生しています。
予測情報が配信された時点から考えると、長野県北部の地震は「要注意」とされ1~3ヶ月の間に発生していますので予測は成功しています。


徳島県南部と岩手県沖も「要注意」でしたが、地震の発生は3ヶ月を過ぎているため予測は失敗となります。


この6ヶ月間だけのわずかなデータで計算すると、的中率は11%予測率は33%となりました。



次に「地震予測サマリー」には、要注意地域として、次の地域が記載されていました。

①奥羽山脈周辺および日本海側
②東北・関東の太平洋岸
③南海・東南海地方
④南西諸島
⑤鹿児島・熊本・長崎周辺
⑥伊豆・小笠原諸島
⑦静岡県・神奈川県周辺
⑧北海道十勝・釧路・根室周辺



この予測情報はすべて「要注意」ですので、①~⑧のエリアのどこかで1~3ヶ月以内に震度5以上の地震が発生する可能性が高いという予測になります。



この期間内に震度5以上を記録した地震は、二回ありました。


一つは徳島県南部(5.1)、もう一つが岩手県沖(5.7)で発生しています。
いずれも先ほど紹介した地震と同じで、2014年10月に配信した予測では「失敗」となった地震が、12月の予測では「成功」となります。


そしてこの予測の的中率は25%で、予測率はなんと100%になりました。


しかし的中率が低いことから、はじめに説明した「予測率のみが高くなるケース」に相当する可能性が考えられます。


例えば2014年に震度5以上の地震は9件発生しています。
月に1回を切る割合ですが、予測の有効期限は最大で6ヶ月もあり、かつ予測の対象エリアがかなり広範囲になっています。


もし、毎週更新されても、前の週までの予測も有効期限いっぱいまで有効とするなら「一年中、日本のどこかで震度5以上の地震が発生する」と言っていることと同じ情報になってしまう可能性だって考えられます。


参考となる情報が少ないため、そこまで深くは追求できませんが、このような誤解の生じないようにするための工夫は必要なのではというのが個人的な意見ではあります。



予測情報の疑問点


予測情報は毎週更新され、情報が継続されるものや消えるもの、新たに加わるもの、そしてそのレベルが変更されるものや、エリアが変わるものがあります。


予測情報が移り変わっていく場合は、M氏は自ら、


最大震度6弱を記録した2014年11月22日の長野県北部地震について、直前に要注視エリアから除外していたため、予測失敗」と判定していました。


このことから変更前の予測情報は除外、最新の情報で判定するというのが適当であると判断できます。



いくつか疑問点をあげるとすれば、
情報は毎週更新されるにもかかわらず、警戒期間が1ヶ月以内、1~3ヶ月、3~6ヶ月となっていて、さらにその予測情報はいつも移り変わっていくということ。


そして地震の規模(M)を予測しているのではなく、地表の揺れ(震度)を予測しているということ。


マグニチュードは距離や深度、その地域の地質などに影響されず、1つの地震に対して1つの値しか出ません。

しかし震度は、距離、深度、地質など条件によって全く異なる値が観測されます。