補強工事が行われても安心はできない
阪神淡路大震災の際に、阪神高速道路の高架が倒れた映像がテレビで大々的に流されました。
これまで、高速道路が倒れるとは誰も想像できなかったため、その映像を見た国民は「あんな構造物が頭上に降ってきたら···」、「自分があの高速道路上にいたとしたら···」と恐れおののきました。
東京を網の目のように走っている首都高速道路は、昭和39年に行われた東京オリンピック時に最初の部分が建設されています。
その後、徐々に拡張されていきましたが基本設計が古いという問題がありました。
そこで、阪神淡路大震災の教調を生かし、耐震補強工事がおこなわれました。
コンクリート製の橋脚に対して銅板を巻きつけるというもので、この工事は平成10年にはほぼ完了しています。
しかし、首都高速道路は震災時にも絶対に安心とはいえません。 仮に首都直下型地震が発生すれば、高架が崩れる可能性は残っています。
大地震発生時、路面が波打つ?
もし、首都高速道路上にいるときに震災が起こったらどうすればいいのでしょうか?
まず、自分がドライバーで車を運転している場合は、ハザードランプを点滅させ、前後の車に注意しながらいったん左側に停車させます。
もし近ければパーキングエリアに止めるのが安全です。
大地震発生時、路面は波打ってしまい、タイヤがパンクしたかのようにハンドルをとられ、とても走れる状態ではありません。
また、首都高速道路は災害時は緊急車両専用の道路となるため、その妨げにならないようにしなければいけません。
しかし、万年渋滞状態の首都高速道路ですので震災後すぐにパーキングエリアは他の車で埋まってしまうことが予想できます。 その場合は、路肩に寄せて止め、貴重品や車検証を持ってキーを付けたままにしておきましょう。
高速道路上から避難をする場合、非常出口が1kmごとに設置されていますので、そこから避難することになります。
しかし、場所によっては高架は怖ろしい高さになっており、高所恐怖症の人はまず、この露出した非常階段を降りることは不可能であると考えられます。 また、足腰が弱い老人や、不自由な方にも到底不可能です。
その場合は、パーキングエリアや非常駐車帯に備えられている「非常電話」を探しましょう。
普段、仕事などで首都高速道路をよく利用するという方は、パーキングエリアの位置や非常駐車帯の場所などを把握しておきましょう。 万が一の際には、車のラジオで災害情報を確認するといいです。